東京地裁は21日、両親に対する自殺ほう助の罪に問われた歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗(きのし)孝彦)被告(47)を懲役3年執行猶予5年とした有罪判決が20日付で確定したと明らかにした。

起訴状によると猿之助被告は、5月17~18日、父で歌舞伎俳優市川段四郎さん(当時76)と母延子さん(同75)の自殺を手助けし、向精神薬を服用させ、死亡させた。

裁判官は「自殺ほう助に至る経緯は短絡的というほかない。思考が狭くなっていたことを踏まえても、くむべき事情が多いとは言えない。刑事責任を軽視することはできない」とする一方、執行猶予を求める親族からの上申書や、猿之助被告に前科前歴がないこと、後悔や反省の態度を示していることなどを鑑みたとした。

11月17日の判決言い渡しから約1時間半後、猿之助被告は松竹の公式サイトを通じメッセージを発表。「父と母を巻き込んでしまったこと、歌舞伎界を含め多くの皆様に治癒し難い傷を負わせてしまったことに対し、言い表せない罪を感じています」と記し、「生かされた自分に何ができるか考えていきます」などと心境をつづった。初公判では「許されるのであれば歌舞伎の舞台に立ちたい。歌舞伎で償いたい」と供述した調書も読み上げられた。