シンガー・ソングライターの星野源(42)が2日、ニッポン放送で放送された「星野源のオールナイトニッポン」(火曜深夜1時)を急きょ、生放送に切り替えた。当初は、23年末に収録した「星野源アワード2023」を放送予定だったが、前日1日に石川県で発生した能登半島地震を受けて、星野が自ら志願して生でオンエアした。
番組では冒頭の6分半強を割いて、現地で取材したニッポン放送の記者のリポートを交えて、能登半島地震のニュースを放送した。その後、登場した星野は「皆さん、いかがお過ごしでしょうか。さあ、どんなラジオにしましょうか? 今日は、元々は収録放送だったんですよね。昨年末に収録したものを、そのまま流す予定でした。去年1年あったことの名珍場面みたいなのを募集して、それを聞きながら笑ったりとか、しているさまを収録して。2時間収録したので、それを今日流す予定だったですけど…やっぱりこういう状況でもあって」と語った。
急きょ、生放送に切り替えた経緯も語った。「僕も、お正月お休みと兼ねて収録放送というのもあったので。例えば、僕が違う場所に行っていたりとかしていたら、出来なかったと思うんですけど、家にいられる状況ではあったので。ちょっと生でやれないかなというお話をさせていただいて。スタッフのみんなも里帰りとかしている可能性があったので、いられる人だけで、もし可能だったら? と呼びかけたら、たまたま全員いて、全員集合ということで生放送でお送りします」
リスナーから「普段通り、やっていただきたい」というメールが「ものすごい来ている」ことで「それを見て、ちょっと迷ったんですよ。『星野源アワード』を流すべきだったのかしら? と思うんですけど」と、逡巡(しゅんじゅん)もあったと吐露した。その上で「『星野源アワード』は、思い出せば思い出すほどね、くだらなすぎるという。今、流すべきなのだろうか? という。くだらないの種類が、ちょっと今じゃないんじゃないのという、何か、そういう感じも、ちょっとあって」と「星野源アワード」の放送を見送った理由を説明。「なので…今日、多分、くだらない放送になる部分も全然、あると思います。全然、そういうメールください。いつもの感じのメールくれて大丈夫です。なので、う●ちとか、ち●ち●とか全然、送っていい。全然、待ってますし、普段通り」と、普段通りの放送を行うと重ねて説明した。
「会議中にすごいたくさん、メールを頂いて今日、被災地に避難されている方からのメール、たくさん読むと思います。『これは、ぜひ読みたいな』と思うメール、たくさんありました」と、被災地のリスナーから送られてきたメールも読むと明言。一方で「それを読みながら、やっぱり、すごく怖くなったし、ニュースで見ている感覚と全然、違う感覚の言葉っていうものが、自分の中に入って来て、一気にリアリティーを、ですね…もちろん全然、それでも分かってないんだと思うんですけど。この2日間、ずっと不安だったんですけど、さらにそれ以上の怖さだったり、心の痛みとか、苦しみというのを感じたので」と、恐怖も感じたことこ吐露した。
その上で「聴いていて、不安になったりする可能性もあると思います。でも俺、それでいいと思います。一緒に不安になりましょう。今日は、一緒に時間を過ごすというのが目的だと思います」と、生放送に切り替えた意図は被災地のリスナーと全国のリスナーを繋げて、時間を共有することであると強調。「なので、普段通りのラジオをやりつつ、今、いろんな場所で今、生きている皆さんからの生のメッセージを読ませていただいて、そんな幹事の2時間をお送りできたらなと思っております」と語った。
被災したリスナーからのメールも紹介した。
「急きょ、ラジオの生放送を決定してくださり、ありがとうございます。昨日の地震で、私の住んでいる地域は地割れや断水、液状化が起こり近くの小学校に避難しました。今でも余震があり、なかなか不安が収まらないです。ラジオの電波を通して、声を届けることを決めてくださり本当にありがとうございます。今はくだらない話や音楽の話でリラックスできればいいなと思っています。今日も、ぐっすりとは眠れない夜ですが、源さんの声で安心したいです」
メールを読んだ後、改めて生放送に切り替えた意義を説明した。「本当に、僕は無力というか、何も出来ることはないなと。そんな中で、出来ることは何だろうと思ったのが、今日の生放送ではあるんですけど。僕は、ちょっと皆さんの気を、そらせるとか、そのくらいしか出来ることはないかも知れませんが、今日、それを全力で…ある意味、無責任にやっていこうかなと思っています」と思いを語った。
この日、1曲目は珍曲として有名で、番組でもおなじみとなっている、元阪神のトーマス・オマリー氏が1994年(平6)にリリースした「オマリーのダイナミック・イングリッシュ~オマリーの六甲おろし~」をかけた。さらに、25歳の常連リスナーからの「先月、初めてのHに成功しました! 鎌倉デートの彼女と、付き合って8カ月…ついに1つになりました。2024年、プロポーズ目指して頑張ります」とのメールも紹介。当該リスナーへの祝福の声も寄せられるなど、普段通りの番組を貫く場面も多々あった。
星野は番組の最後で、この日の放送の意義を改めて語った。
「時間をともにしているって、すごく大事だと思っていて。もちろん今、この時間、聴けない人もいると思うので、radikoのタイムフリーとか、そういうもので聴いている人も、一緒でいいです。今、一緒に聴いている人って、同じ時間を過ごしているんですよ。例えば時間軸が、ちょっと違っだとしても、同じだと思って良いと思います。同じ不安、良い意味でのくだらなさを共有することって大事…どんな感情でも。1人じゃないっていう感覚って、なかなか持つのは難しいし、頭で理由が分かっていても良く分からないじゃないですか? ラジオの1回の記憶って、何か知らないけど一生。残るんですよ。この時間…かけがえのないものだと思っていますし、一緒に過ごした時間も忘れないように今日も、明日も生きていこうと思います」
星野は、11年にリリースした自身の楽曲「くだらないの中に」をかけた後、最後に被災地のリスナーからのメールを読んだ。その上で「よしっ、くだらないので終わろうか」と言い、女性リスナーから届いた「乳首吸引器」を使用したメールなどを紹介し「バカッ! これで、終わるのか、このラジオは!?」などと言い、番組を終えた。