2020年に英王室を離脱して米カリフォルニア州に移住したヘンリー王子(39)が、昨年1月に出版した回顧録「スペア」で過去の薬物使用を告白したことを受けて入国資格を巡る問題が浮上していた件で、ビザ申請書が裁判所に提出されたことが分かった。

英インディペンデント紙が、バイデン大統領の政権弁護士を通じて提出され、申請書を公開するかどうか決めるための審理が行われていると報じた。

王子のビザ申請を巡っては、米ワシントンDCの保守系シンクタンク、ヘリテージ財団が昨年、ビザ申請に際して薬物使用に関してうそをついていた可能性があるとして国土安全保障省(DHS)に申請書類の開示を求めた。しかし、DHS側が応じなかったことから米政府を提訴している。

同財団は、「スペア」でコカインや大麻、マジックマッシュルームを使用したエピソードをつづっていた王子は、薬物使用の証拠がある申請者の申請を退けることができるという米国の移民法に抵触する可能性があると指摘し、ビザ承認の手続きが規定通り行われたのかどうか明らかにする必要性を訴えている。DHS側は、「公開は、対象者のプライバシーの利益を無効にするほどの公益の利益はない」と要求を拒否していた。

王子のビザ申請を巡っては「私は王子を守らない。厳しく対処する」とトランプ前大統領も発言しており、11月に行われる米大統領選で再選を果たせば、厳しい立場に立たされることが予想されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)