神田伯山(40)が12日、東京・丸の内TOEIで行われたアニメーション映画「クラユカバ」初日舞台あいさつで、アフレコを3分の1程度、終わった段階で「僕、声優じゃないんで…無理ですよ」と自ら降板を申し出ていたと、塚原重義監督から暴露された。

「クラユカバ」は、塚原監督の初長編作品。今作が声優初主演の伯山は、世間を惑わす集団失踪の謎を追う探偵・荘太郎を演じた。伯山は「鬼のような現場でしたね…まさに鬼がいた」とアフレコを振り返った。ただ「鬼」と形容した真意を明かした。

伯山 僕にとっても、うれしい、ありがたいことで。声優さんは、一発で決める美学がある。声優の方でない素人が参加するにあたって、最高の環境を整えて…塚原監督をはじめスタッフの皆さんに忌憚(きたん)なく『もう1回、やりましょう』と、いろいろなバージョンで言ったり『セリフを足していった方が良いかもしれない』と、こっちを誘導して…。僕も何度もも取り直すのが好き。ラジオでも何でも、古典芸能は再放送ですから。今回、初めて苦になった…でも、これだけ一生懸命やると良い作品になる。良い現場。

伯山も「映画は監督のものだと思うんで監督とOKならいいと思うんですけど『ちょっと、すみません。もう1度、お願いできませんか』と」と、自ら取り直しを要求した場面もあったという。塚原監督から「5、6回やっていませんでしたか?」とツッこまれると「僕、記憶、書き換えていました?」と笑った。

さらに伯山が「長い収録の間に疲れ果てた時に『(声優の)中島ヨシキさんで良いんじゃないか』と話して以来、OKテイクが多くなった。こいつ、帰るんじゃないか? と」と話を振った。塚原監督は「最初の方で『僕、声優じゃないんで無理ですよ。他の声優さんで、いいんじゃないですか?』と」と、伯山が降板を申し出たと明かした。さらに「その時点で3分の1くらい取っていて、周りのスタッフから『監督、どうするんだ? お前が何とかしろよ』」と、スタッフに追及され、伯山と話し合いをしたと明かした。

伯山は「ただのケンカの会話ですよ。監督は創作能力が高い人だからウソを言っちゃう」と笑ったが、司会から「別ルートから(アフレコが)ピリッとして伯山さんが降りるんじゃないかみたいな話も聞いた」とツッコまれた。すると「物作りは、そういう現場の方が良い作品が出来ますよね。それくらいお互いが感情的になる方楽しいですよね? 監督が帰るか、俺が帰るか…スリリングだった」と、振り返りつつ周囲に同意を求めた。同監督から「伯山さんと、いろいろあったインパクトが強すぎて」との声が出ると「監督が素人声優を使わなくなったら、僕のせいですね」と笑った。