フジテレビ系の新番組「ミュージックジェネレーション」(木曜午後7時)の放送が11日に始まった。お笑いコンビさまぁ~ずをMCに、令和、平成、昭和の3世代の定番ソングを聴きながら、ジェネレーションギャップトークを繰り広げる音楽バラエティー番組。不定期放送だった21年から全13回の特番を経て、この春ついにレギュラー化。番組の仕掛け人、同局松本祐紀プロデューサー(46)に番組の見どころを聞いた。【望月千草】

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インタビュー中、松本氏は「家族で」「大人から子どもまで」というフレーズを何度も口にした。今春の改編テーマは「一緒に笑えるだけで、しあわせ」。「家族だんらんをテレビの前でできるような番組を作りたい」と、テーマを体現する番組作りに気合十分だ。

同局は「木曜日改革」として木曜GP帯にメス。「ミュージックジェネレーション」と「街グルメをマジ検索!かまいまち」(18日開始、午後8時)の2番組がゴールデン枠に昇格した。ともに松本氏がチーフプロデューサーを務め、連なる2枠を同一プロデューサーが担当するのは局内でもかなりまれ。「木曜GPもとても重要な枠。会社からの大きなプレッシャーを感じています」と苦笑するが、バラエティー畑で経験を積んできただけに、その腕を鳴らしている。

改革の先陣を切って11日に始まった「ミュージック-」の売りは「3世代」という切り口。異なる世代に生まれたゲストたちが、ジェネレーションギャップトークに花を咲かす。楽曲が生まれた時代が違えば、歌詞の世界観や背負う背景もさまざま。「昭和の曲が流れた時、若いゲストがぽかーんとしていることもあったりします」。特番時代、昭和の定番ウエディングソングを聴いた20代ゲストが絶句したことがあった。歌詞から読み取れる「男は仕事、女は家庭」の考えが根強かった昭和と、「女性の自立」が定着した令和との価値観や空気感の違いは明白。「令和世代から見ると驚きもあるし、面白いんだろうなと思います」。トーク部門も盛り上がり、SNSでも話題になった。

逆もしかり。昭和世代から見れば、令和ソングは新鮮。「恋愛ソングを聴くと『好きなの? 好きじゃないの?』とか思ったり。それが時代にマッチしていたりするので歌詞の違いも面白い」。MCを務めるさまぁ~ずも番組の“狙い”を体感。「三村さんはお子さんと一緒に見て『昭和のこの歌良いね』とか家族で話したりしたそうです。『昭和はこんな曲を歌っていたの?』とか、家族で話すきっかけになれば」。世代によって、異なったリアクションや感想を持つ点も視聴者の共感を呼びそうだ。

GP帯を走り抜ける燃料も蓄えた。見応えのある昔懐かしの貴重映像は、13回放送を続けた積み重ねのたまもの。先方との信頼関係が構築され、映像使用の許諾が下りることも増えたという。さらにこの春からは、新企画「世代別ミュージックマッチング~#音楽つけてみました!」も始動。世代ごとに王道シチュエーションにマッチする曲を選び、違いを楽しむという試み。視聴者を飽きさせない工夫を凝らした。

音楽番組のフィールドは“戦国時代”突入ともいえる。この春、日本テレビ系では新番組「with MUSIC」がスタート。テレビ朝日系では生放送でおなじみの「ミュージックステーション」、TBS系は「CDTVライブ!ライブ!」。フジテレビ系でも長寿番組「MUSIC FAIR」と、民放5局中4局がレギュラーでの音楽番組を持つ。

バラエティー色も強い「ミュージックジェネレーション」は、アーティストを呼んだライブパフォーマンスの演出はなく、VTRを交えてのトークスタイルが特徴でもある。テレビ離れの進む今、ライブパフォーマンスはリアルタイム視聴にもつながるが、松本氏は「今のところはトークで」とおなじみのスタイルを続ける方針だ。「特番を13回やってきた。やっぱり3世代という切り口は絶妙だと思っています」と自信。支持されてきたスタイルをベースに勝負する。

昨今は、サブスクや配信番組の発達で「1人視聴」など視聴方法も多様化。その時代に大人から子どもまで、お茶の間でテレビを囲んで楽しむ“原点回帰”が理想だ。「家族で見て、『この音楽聴いたことない』『若い人の間でこれがはやっているんだな』って、テレビの前で家族で楽しんで欲しい」。家族や友人、人と人をつなぐ“架け橋”を体現する。

▼さまぁ~ず大竹一樹 我々は特に何かするわけでもなく、皆さんと同じようにニコニコしながら歌を聴いているだけですが(笑い)、知らない歌を知ることができる、非常に良い番組です!

▼さまぁ~ず三村マサカズ TikTokでバズっている曲から懐かしい曲まで、お茶の間にいる感覚で聴ける、ただただ楽しい番組です。意気込みすぎず、ラク~に臨みたいと思います(笑い)。

◆ミュージックジェネレーション 視聴者に令和、平成、昭和の3世代の定番ソングをテーマ別にアンケート。貴重映像とともに聴きながら、ジェネレーションギャップトークを展開する音楽バラエティー。各世代のゲストがこだわりの楽曲やその曲にまつわるエピソードを披露する。MCをさまぁ~ず大竹一樹&三村マサカズ、フジテレビ井上清華アナウンサーが進行を務める。

◆松本祐紀(まつもと・ゆうき)1977年(昭52)12月17日、神奈川県生まれ。早大商学部卒業後、02年にフジテレビ入社。「イタズラジャーニー」「オールナイトフジコ」「坂道の向こうには青空が広がっていた。」などを担当。現在、編成制作局バラエティ制作センターバラエティ制作部・部長職。