第68回(25年度)ブルーリボン賞(主催・東京映画記者会=日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)の授賞式が17日に東京・イイノホールで開催された。

主演男優賞の妻夫木聡(45)が、前回受賞した10年度「悪人」でタッグを組んだ、作品賞「国宝」の“盟友”李相日監督(52)と壇上で再会。落涙寸前に陥りながら、同監督から「泣いちゃダメよ」と言われ踏みとどまり「20代の若い頃から一緒にやって、この年になっても頑張れている」などと笑顔で喜びをかみしめた。

受賞スピーチの途中、司会の山口馬木也(53)が李監督にステージ中央に来るよう促すと妻夫木は「中央に来ちゃうの?」と照れた。同監督からは「悪人」の頃は俳優としてもがいていた秘話が明かされた。

李監督 思い起こすと、役者として変化したい、もっと上にいきたいという、いろいろなもがきの中にいた。不安を含め役に対しての力になった。十数年たって、より成熟して、作品を背負う俳優として立つ、この映画を背負っている顔、という映り方を「宝島」ではしていて、大きさを感じた。大きくなったねぇ…。

妻夫木は「絶対、泣かせにきてますよね」と笑いつつ、瞳は涙に揺れていた。受賞を受け1月に東京映画記者会7社の取材を受けた際は、15年前の受賞を振り返り泣いたが、この日は李監督から「泣いちゃダメよ」と言われ、こらえた。

李監督とは、04年の監督作「69 sixty nine」でタッグを組み、16年「怒り」含め手を携え、互いに“盟友”と思ってきた。受賞対象作「宝島」と「国宝」は製作時期が重なり、ともに脚本から難航したことなど情報交換を続けてきた。「同じ時期に作り、映画という歴史の中で一緒に歩めているんだなと光栄だった。ちゃんと自分が見たい景色を見に行けている感じが、すごいうれしい」。そう口にした瞳に、もう涙はなかった。

「宝島」で共演した主演女優賞の広瀬すず(27)からも「体の中のエネルギーを放出し、背中が小さくなっていく後ろ姿を何度か目撃した。こういう先輩が映画の世界にいてくださるのは何て心強いんだ」と撮影中のエピソードが明かされた。その広瀬とともに来年度は授賞式の司会を務める。「今年は一番、感謝の思いが強い。記者の皆さんが、映画を信じたいという思いを信じてくれた答えだと思う。(主演男優賞だけど)皆さんと、作品賞を1つもらったと思っています」と感謝した。【村上幸将】