劇団朱雀「OMIAKASHI」(26日まで東京・サンシャイン劇場ほか)のゲネプロを観劇した。

劇団朱雀の公演を見たのは10数年ぶり。早乙女太一(34)が2代目座長になってからは初めてだった。当時も記者職だったが芸能担当ではなく、休日に自分でチケットを取ったのを覚えている。

開演前、頭の中にはぼんやりと以前の公演イメージがあった。始まると大きく塗り替えられた。第一部がユーモアあふれる芝居なのは変わらない。が、全編ショーアップされている。純度高めの時代劇から、エンタメ要素マシマシの異素材ミックス時代劇に進化していた。

さて二部の舞踊ショー。美しい。知っていたけど、やっぱり早乙女太一の女形は美しい。まばたきを忘れ、目の乾燥で初めて見とれていたことに気付いたくらいだ。かと思えば力強い祭りが始まり、兄弟の剣舞も見られる。

最後まで一瞬も退屈しなかった。あまりの疾走感に終わった後、運動会を1本やり切ったような謎の爽快感があった。座って見ていただけなのに。

総じて「大衆演劇」の響きが醸す敷居の高さを低く、低くしているように感じだ。若い人も楽しめるようにという工夫が随所にあった。昨年6月、早乙女太一にインタビューさせてもらった。その際、彼は「今の時代の大衆演劇は全然大衆演劇じゃない。すごくアングラ。またいつか、僕の代じゃ間に合わなかったとしても、大衆演劇が皆さんの身近なエンターテインメントになれたらいいな」と話していた。

古き良きものを残しながらブラッシュアップして世界を広げる。それでも伝統的なもの、日本ならではものって良いなと思わせてくれる。ああ、こういうのがやりたかったのか。と、1年越しに答え合わせをさせてもらったような気持ちになった。

肩肘張らずに見に行って、声を出して笑って、美に見とれて、元気になって帰ってきた。村人Aならぬ民衆Aの私がそうだったので、今公演はアップデートされた大衆演劇の“正解”なんだと思う。

何より、演者の皆さんが生き生きしていた。1年前、座長は「今なら舞台や劇団に携わってくれるみんな、自分を楽しませる場所を自分でつくりだせる」とも言っていた。きつそうだけど、楽しいんだろうな。出演している喜矢武豊(41)が「人生に一度は見るべき劇団」とコメントを寄せていたが、そう思う。「大衆演劇? 」とピンとこない人にこそ、ぜひ足を運んでみてほしい。【鎌田良美】