消化管出血で亡くなった俳優長門裕之(ながと・ひろゆき)さん(本名・加藤晃夫=かとう・あきお、享年77)の葬儀が24日、東京・善福寺麻布山会館で営まれ、約250人が参列した。弟津川雅彦(71)が、喪主のあいさつで長門さんの亡くなった21日、自分も心筋梗塞で都内の病院のICUにいたと明かした。

 黒柳徹子、奥田瑛二の弔辞の後、喪主のあいさつを行った津川は「21日は互いにICUで生死をさまよっていました。兄貴は僕の悪いところを全部持って行ってくれた。兄貴ありがとう」と述べた。

 葬儀後には「医師に(長門さんの病院に)行ったら死にますよと言われた。心筋梗塞の5%の人が亡くなるが、あなたはその確率の中だと。僕は運が強い。5%にはまるタマじゃない。先生には『あなたのおかげで死に目に会えない』と言った」と語った。

 津川は、通夜と葬儀に出席したが「兄の葬儀をしたいとの一心で(心筋梗塞を)思い出さなかった。葬儀はオレの作品」と説明。さらに「結局、兄は南田洋子のもとに招かれた。生きていてほしかった。無念です」と泣いた。

 津川の事務所関係者によると、20日に胸が痛み、病院に行ったが、21日に詳しい検査を行うことになったと説明。結果は、治療の必要もないとした。津川は、97年にも同じ症状で3日入院したことがあった。

 葬儀では、黒柳が「介護時、あなたは南田さんに2人で死のうかと言ったら、分かるはずがないのに『それはダメ』と言ったと、泣きながら幸せだと言っていました。美しいおしどり夫婦を忘れません」と述べた。

 奥田も「私がプロデューサーで、娘が監督の映画で主演をお願いしていた。長門さんの思いを持って撮影します。あと1つお願いがあります。お願いだから『雅彦、こっちに来い』と誘わないで」と述べた。

 出棺の際には参列者が拍手で送り出した。

 ◆主な参列者

 黒柳徹子、角川歴彦、奥田瑛二、和泉雅子、西田敏行、筧利夫、岸部一徳、五木ひろし、金田賢一、田村亮、渡瀬恒彦、高橋英樹、高橋克典、本田博太郎、川中美幸、笹野高史、雛形あきこ、蛭子能収、加藤和也、竹野内豊、西城秀樹、尾上菊五郎、薬師寺保栄(順不同、敬称略)