映画「竜馬暗殺」「ツィゴイネルワイゼン」などで知られる俳優原田芳雄(はらだ・よしお)さんが19日午前9時35分、上行結腸がんから併発する肺炎のため、都内の病院で死去した。71歳だった。通夜は21日、葬儀・告別式は22日に東京・青山葬儀所で営まれる。

 俳優座の先輩で、数多くのドラマで共演した女優市原悦子(75)が「年を重ねて、掛け替えのない、いい俳優になっていた。もうご一緒できないと思うと、寂しいわね」と悼んだ。

 原田さんと市原の最後の共演は、大震災が発生した3月11日に収録されたNHKFMシアター「飛ばせハイウェイ、飛ばせ人生」だった。「収録中に揺れて、余震の中で録音を続けた。原田さんは落ち着いていて、しっかりといい演技をされ、長い時間立ってやっていました。帽子をかぶって、声は少し弱々しかったかしらね」と振り返った。

 原田さんが俳優座養成所に入った63年に初めて出会った。「言葉は多くないけど、男性的ですっきりとして、わが道を行く人。人柄も近寄りがたさがあったけれど、頼もしくて、仲間になりたいと思わせる人だった」。71年、原田さんと市原、中村敦夫らが当時の俳優座の体制を批判し、退団する騒ぎを起こした。

 「原田さんは映画志向で、私は舞台志向。若い時はご一緒する機会が少なかったけど、だんだんと共演が多くなり、あらためていい俳優さんだと思った。なれ合いではなく、とてつもない発想で来るし、刺激的。男性としての味も深くなっている。役者同士の掛け合いが楽しいの」。

 2年前、原田さんの大腸がん手術後にドラマ「春さらば」で共演した。「『たたいても死なないおれが、がんになってしまった』と笑って、元気だった。その時も『携帯電話を持たないのは悦ちゃんとおれぐらい。縛られたくないから携帯持たないんだよ』と言ってました。共演したい作品があったけど、もう出来ないのね」。市原は悲しみを隠せなかった。