8日に肝臓がんで死去した歌手島倉千代子さん(享年75)の葬儀・告別式が14日、東京・青山葬儀所で営まれた。約3000人が参列する中、亡くなる3日前に録音された肉声と、同日にレコーディングされた新曲「からたちの小径」が初公開された。出棺の際には、大ヒット曲「人生いろいろ」が流れて参列者は手拍子。島倉さんは“最後のステージ”を終え、現役歌手のまま天国に旅立った。

 島倉さんが、歌手のまま旅立った。細川たかし(63)新沼謙治(57)らがひつぎを車に乗せ終えると、「人生いろいろ」が流れた。そして、島倉さんの歌声に合わせ、手拍子が始まった。長いクラクションとともに車が動きだすと、参列者の叫び声がこだました。「お千代さ~ん!!」「ありがとう~!」。

 亡くなる3日前の今月5日、島倉さんは都内の自宅に設けられたスタジオで、「からたちの小径」を録音した。関係者によると、体調を配慮して1回しか歌わない予定だったが、島倉さんの強い希望で3回歌ったという。作曲を手掛け、収録にも立ち会った南こうせつ(64)は「最後の最後まで歌に生き抜いた姿は、歌の神様のようだった」と驚いていたという。

 波乱に満ちた生涯だった。NHK紅白歌合戦に通算35回出場した人気歌手である一方、私生活ではプロ野球阪神のスターだった藤本勝巳選手との離婚や3度の中絶、約21億円にも及ぶ借金、乳がん切除などの苦難もあった。それでも歌い続けた。この日、式の冒頭で公開された最後の肉声でも、歌うことの喜びを表現していた。

 「私の部屋の中にスタジオができて、私は、できる限りの声で歌いました。自分の人生の最後に、もう2度と見られないこの風景を見せていただきながら歌を入れられるって、こんな幸せはありませんでした。人生の最後に、すばらしい、すばらしい時間をありがとうございました」

 弱々しく震えた声だったが、続けて披露された「からたちの小径」では、時折、力強さも感じられた。弔辞を読んだ石川さゆり(55)も言った。「生涯歌い手としてあることは、言葉で言うほどたやすいことではないと思います。でも、島倉さんは見事なまでにまっとうされました」。

 関係者によると、「からたちの小径」のCD化は、確実視されているという。残した数々の名曲とともに、お千代さんの歌声はこの世で生き続ける。【横山慧】

 ▼参列した主な著名人

 細川たかし、新沼謙治、長山洋子、大月みやこ、平沢勝栄、岡田彰布、石川さゆり、水前寺清子、山本リンダ、八代亜紀、鳥羽一郎、デヴィ夫人、コロッケ、玉置浩二、藤あや子、平尾昌晃、堀内孝雄、錦野旦、城之内早苗、走裕介、舟木一夫、川中美幸、ジュディ・オング、田辺靖雄、西尾夕紀、山田邦子、友近、大石まどか、宮路オサム、岡千秋、加藤和也、松前ひろ子(順不同、敬称略)