人気アイドルグループ「AKB48」のメンバーらが昨年5月、岩手県滝沢市の握手会で切りつけられた事件で、傷害と銃刀法違反の罪に問われた青森県十和田市の無職梅田悟被告(24)に対し、盛岡地裁は10日、懲役6年(求刑は懲役7年)の判決を言い渡した。

 岡田健彦裁判長は判決理由で、動機について「仕事が見つからず、収入がなくつまらないという気持ちから、誰かに八つ当たりして鬱憤(うっぷん)を晴らしたいと思うようになった」と指摘。「1歩間違えば命を奪いかねない危険な犯行。事件後(ファンとの)交流イベントが中止になるなど、社会的影響も軽視できない」と述べた。

 判決によると、梅田被告は昨年5月25日夕、滝沢市の握手会会場で、メンバーの川栄李奈(19)と入山杏奈(19)、20代の男性スタッフにカッターの刃を貼り付けた折りたたみ式のこぎりで切りつけ、重傷を負わせた。事件後、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。盛岡地検は鑑定留置した上で刑事責任を問えると判断したが、凶器の形状などから傷害と銃刀法違反の罪で起訴した。

 公判で梅田被告は「自分勝手なことをして反省している」と述べたが、動機面では「なんとなく」「適当」などあいまいな説明に終始。家族によると被告はAKBファンでもなく、以前に近所の人を襲おうと考えていたことも公判で判明するなど、被告の心の内は解明されないままだった。

 弁護人は判決後、報道陣に「控訴は考えていないが今後、被告と相談する」と述べた。