5月20日は大阪府熊取町で小学4年生の吉川友梨さん(当時9)が行方不明になって20年。私は何度も現場を取材したが、下校時、友だちと別れて自宅まで400メートル。こつぜんと姿が消えたまま、手がかりはない。

発生日に合わせて大阪の毎日新聞などは改めて直前まで一緒だった3人の同級生を現場で取材。私も「少しでもお役に立つなら」と、長時間、事件への思いをお話しし、紙面では〈犯人に対して「諦めていないぞ」というメッセージを送り続けることが大切〉とコメントさせてもらった。

言葉は短いが、私はそこに1つの思いを込めたつもりだ。友梨さんのご両親もそうだが、こうした未解決事件では発生日に合わせて現場や駅前で警察官とともにビラを配り、協力を呼びかける。だが年月とともに、「いまさら手がかりと言われても」という声が聞こえてくるのも事実だ。

そんなとき私が思い起こす事件がある。2014年、埼玉の女子中学生が千葉の大学生に誘拐された。男は少女を「親から見放された」とだまして中野のアパートに監禁していたが、2年後の2016年、男の留守中に少女は部屋を飛び出して親に電話、警察に保護された。

駆けつけた署員によると、少女は隙を見て男のパソコンで自分の名前を検索。ネット上に駅前で少女の名を必死で叫んでいる父親の映像を見つけ、以来、公衆電話をかける際の小銭をいつも持っていたという。

29歳になった友梨さんの目に、ぜひともいまのご両親、そして同級生の姿が届いてほしい。加えて、われわれメディアからも犯人にひと言。

「絶対に諦めないからな」

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。