稲田朋美防衛相(58)が6月30日に開いた閣議後の会見が、「大炎上」した。先月27日、都議選の自民党候補への応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」とした自身の発言を釈明した際、「誤解を招いた」「誤解を『招きかねない』発言」と、主張した。自衛隊員の政治的行為を制限した自衛隊法などへの抵触の恐れが指摘される中、失言を認めようとしない逃げの発言が続き、記者から「誤解を招く余地はない」「なぜ、誤解を招きかねないというのか」と、再三追及された。

 稲田氏は「誤解」というフレーズを35回連発。防衛省や自衛隊に触れたにもかかわらず、「あくまで自民党の議員として応援をお願いした」と言い張り、納得できない記者との間でかみ合わない質疑が続いた。

 一方、稲田氏は「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」とした発言を、4日目にして初めて謝罪。「『防衛省・自衛隊、防衛相』の部分は撤回し、おわび申し上げる」と述べた。発言当日は謝罪していないが、「訂正、撤回することで、おわびの気持ちを表した」という。

 稲田氏の失言は、加計学園問題などで逆風の自民党に、さらに深刻な状況を招いている。しかし、稲田氏を評価する安倍晋三首相は、続投を指示。稲田氏も「防衛相の職責を果たしたい」と述べたが、詭弁(きべん)の繰り返しで反発は強まる一方だ。民進党などは首相の罷免を求めているが、首相に近い日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事も、この日の都議選応援で「今回はレッドカードだ」と、稲田氏の自発的辞任を要求。稲田氏を守る首相への圧力も、強まっている。