田中真紀子元外相(73)は22日、取りざたされる衆院新潟5区補選(10月22日投開票)への出馬に関し、意味深な発言を連発した。文化放送のラジオ番組に出演し、「今の政界は、私の夢を実現できる環境ではない」としながらも、旧知の河野洋平元衆院議長に「真紀子新党」結党を勧められたことをわざわざ明かし、出演後の取材にも「何が起きるか分かりませんよ」と、けむに巻いた。一部では、野党統一候補での擁立論も浮上。真紀子氏の「復活」はあるのか?!

 長島忠美氏の急死で、補選が行われる衆院新潟5区。真紀子氏のもともとの地盤だが、12年衆院選で長島氏に敗れて落選。14年は出馬を見送ったが、補選まで2カ月を切り、真紀子氏の去就が注目されている。

 真紀子氏は22日、文化放送「斉藤一美ニュースワイド SAKIDORI!」に生出演。新潟5区に関し、公の場で初めての発言となったが、「何とも悩ましい」と思わせぶりに切り出した。「私は政治のDNAの固まり。政治は夢を現実に近づけられる」と政治への変わらない思いを述べ、司会者に「真紀子さんなら閉塞(へいそく)感を打開できる」と水を向けられると、「その声は聞く。10月22日、当選はできるかもしれない」と自信もみせた。

 「仮に当選させていただけたとしても、残念ながら私の夢を実現できる環境ではない」と否定的に述べる半面、「あなたを中心に『女子党』をつくってはどうか。それしか安倍さんを倒す方法はないかもしれない」と、河野氏に新党結成を勧められた話を披露。「ナントカ百合子さんがやっているようだが、チルドレンのようなおばかさんばかり来ても仕方ない」と、小池百合子都知事の都民ファーストの会を皮肉る対抗心も。「私は『ストップ安倍』だと思う」などと、変わらぬ真紀子節を口にした。

 新潟は昨年の参院選で野党統一候補が勝利。負けられない自民党は、知名度がある泉田裕彦前県知事を推す声が浮上しており、野党の一部にも、真紀子氏への待望論があるという。

 番組出演後、真紀子氏は日刊スポーツなどの取材に「(出馬は)全然ありません」とした上で、「引退するとか、しないではない。タイミング。風ですよ。風向き」と強調した。「自民にも民進にも同志はいる。情勢を見るのは大事。一生出ないかもしれないし。何が起きるか分かりません」。出馬論ははぐらかしつつ、復帰のタイミングを見極めていることは認めた。真紀子氏の「再始動」はいつ起きるのか。

 ◆10・22衆院補選 いずれも自民党議員の死去に伴うもので、衆院愛媛3区、青森4区、新潟5区で行われるトリプル選挙。森友&加計学園問題などで一時の勢いがない安倍晋三首相にとって、今月3日の内閣改造後、初の国政選挙だが、自民党は東京都議選や仙台市長選など、地方の大型選挙で敗北が続く。27日投開票の茨城県知事選も、自民新人と現職が接戦とされる。一方、来月1日に新代表が決まる民進党は、代表の初陣。昨年の参院選では、青森、新潟で野党候補が勝っており、今回自民が負け越せば、首相には大打撃だ。首相が、補選に合わせて衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方もくすぶる。