日本スポーツ振興センター(JSC)は22日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の軒(のき)・庇(ひさし)に、47都道府県の木材を使用すると発表した。木材を前面に押し出したスタジアムで、軒・庇は新国立のデザインの顔だった。

 設計者で建築家の隈研吾氏は「全国の人が心をひとつにするために考えた」と思いを語った。木材の軒・庇は、日本では長い間、親しまれており「今日のような雪や直射日光、雨だけから守ってくれる」と話した。

 軒・庇は新国立を360度囲み、各県がある方位にその地方の木材を使用する。例えば、北海道・東北地方は北側、関東地方は東側、近畿地方は西側というように配置する。

 観客が入場する3つのゲートの軒には被災地の木材を使用する。北、東側は東北の被災3県(青森、岩手、宮城)、南側は熊本県の木材となる。隈氏は「47都道府県、木目の表情が違う。地図を付けるなど、何県の木材か分かるような仕組みを考えたい」と語った。

 材種は調達しやすいスギを利用するが、沖縄県だけはスギが自生していないため材質の近いリュウキュウマツを使う。木材を使うのは完成イメージ図にある1~4階部分。一番上にある5階の大庇は、耐久性を加味して木目調をデザインしたアルミを使う。