麻生太郎財務相が、自らの失言で“自爆”した。30日の参院財政金融委員会で、森友学園をめぐる財務省の文書改ざんに比べ、環太平洋連携協定(TPP)の報道の扱いが小さいと不満を述べた29日の自身の発言を野党に批判され、追い込まれる形で謝罪を口にした。文書改ざんで組織のあり方が問われている財務省のトップとして、危機意識の欠如も露呈。麻生氏に対する野党の辞任要求を再び強める原因を、自ら招いた。

 麻生氏は29日、同委で「森友問題の方がTPPより重大だと考えているのが、日本の新聞のレベル」と新聞批判を展開。「茂木大臣が0泊4日でペルーを往復したが、新聞には1行も載っていない」とも指摘したが、茂木氏が署名式で往復したのはペルーではなくチリで、一般紙各紙はTPPについて詳細に報道。事実誤認も重なる形となった。

 麻生氏はこの日、「森友問題を軽んじている」と批判され、「そういう印象を与えたなら、訂正する」と主張。「おわびした方がいいのでは」と問われると「反省」を口にし、さらに「撤回された方がいい」と突っ込まれると、「誤解を招く発言があったとすれば、謝罪したい」と述べた。

 TPP署名式と同時期、佐川宣寿前国税庁長官が辞任した。麻生氏は「TPP署名は極めて大きな問題。なぜこれほど無視されたような記事になるか理解できなかった」と釈明したが、立憲民主党の枝野幸男代表は「自分の役所でとんでもない不祥事が起きた当事者意識を欠いた暴言」と批判。「新聞も読んでいない。もうやる気がないんじゃないか。やる気がないなら国民のため、さっさと引かれるべきだ」。麻生氏への辞任要求は今後、さらに強まりそうだ。【中山知子】