天皇、皇后両陛下主催の園遊会が9日、東京・元赤坂の赤坂御苑で、雨が降る中開かれた。両陛下は1本の傘を2人で握りながら寄り添い、各界の功労者らと和やかに交流された。

園遊会は、今回が平成で最後。来年4月30日の陛下の退位後、両陛下はすべての公的活動から退くため、園遊会への出席も53回目の今回が最後となる。園遊会は春と秋の年2回催されるが、来年は代替わりの儀式が続くため春は開かれず、秋も開催されない見通し。

この日は脚本家の三谷幸喜氏、平昌パラリンピックのアルペンスキーで金メダルを獲得した村岡桃佳ら約1800人が出席。陛下は、1700年にわたる日本の歴史をテーマにした舞台演劇を制作している三谷氏に「構想も大変でしょう」と語り掛け、三谷氏は「歴史が好きなものですから、とても楽しい仕事です」と応じた。金を含む計5個のメダルを獲得した村岡には「よかったですね」とねぎらい、皇后さまは村岡を「(雨に)ぬれていない?大丈夫?」と気遣われた。

両陛下の即位以来、園遊会には10万人近くが参加。阪神大震災や東日本大震災に配慮して取りやめとなったこともあるが、両陛下は毎回、穏やかな表情で交流を続けてこられた。今年春の園遊会。陛下はフィギュアスケート男子でオリンピック連覇を達成した羽生結弦選手に「けがをした後は気を使っての練習だったんでしょう」と問い掛けた。陛下が、日本選手の状況を細かく気にしていたことが分かる場面でもあった。

今回は、03年12月から療養に入り近年の園遊会には毎回、一部の参加にとどまっていた皇太子妃雅子さまが、15年ぶりに最後まで加わり「完全復帰」された。代替わり前最後の園遊会でもあり、直近の公務を見合わせ、満を持して臨んだ。皇太子さまとともに天皇、皇后両陛下の後に続き、約半年後に代替わりが迫っていることを印象づけた。20年春の園遊会からは、新天皇、皇后となった皇太子ご夫妻が主催する。