自民党の第3派閥(55人)、竹下派会長の竹下亘(わたる)前総務会長(72)は9日、都内で会見し、食道がんであることを明かした。昨年末にのどに異変を感じ、「精密検査を受けた結果、判明した」という。入院し、治療に専念する。

竹下氏は、87年に竹下派(旧経世会)を立ち上げた竹下登元首相の弟。入院期間について、「医者は『早ければ数カ月で(仕事に)復帰できる』と言っている」と語った。手術に踏み切るのかどうか、がんの進行度を示すステージに関しては「話すべきではない」として、言及しなかった。

竹下氏は議員辞職は否定し、派閥の会長職にもとどまる意向を示した。当面の間の派閥運営は、最高顧問の額賀福志郎前会長や、会長代行の茂木敏充経済再生担当相、吉田博美両氏ら派閥幹部に委ねられる。

竹下派は94年、政策集団「平成研究会」となった後、小渕派、橋本派、津島派、額賀派と受け継がれ、昨年4月、竹下氏が額賀氏の後を継いで、派閥会長に就任。名門派閥・竹下派の復活として、大きな話題となった。ただ、竹下氏は昨年9月の党総裁選で、当初の石破茂元幹事長支持で派閥内を一本化できず、安倍晋三首相に近い茂木氏らは首相を支持。“分裂選挙”となり、竹下氏の求心力に疑問符がつく形となった。

今回、竹下氏の健康問題が表面化したことで、総裁選で明るみに出た派閥内の主導権争いにも影響する可能性が出てきた。同派は長らく「総裁候補」不在が指摘され、茂木氏や加藤勝信総務会長、小渕優子元経産相らが将来の総裁候補に挙げられ、「大混戦」となっている。