競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)の、衝撃的な白血病の公表から一夜明けた13日、祈りの輪が広がった。

骨髄バンクへのドナー登録は(1)18歳以上54歳以下(2)体重が男性45キロ、女性40キロ以上が要件で、病気療養中や服薬中だったり輸血を受けたことがなければ可能だ。日本骨髄バンクから登録申込書を取り寄せて記入し、窓口の全国の献血ルームや保健所に提出。白血球の型「HLA型」を遺伝子検査するために2ミリリットルを採血し、データ登録されれば完了だ。日本骨髄バンクの田中真二さん(45)は「窓口が空いていれば15分程度で可能です」と説明。ドナー登録者は18年12月末時点で49万3627人に上る。

患者とHLA型が適合したドナーには意思確認の書類が送付され、医師らによる説明、問診、採血を行う確認検査を経て最終同意すれば骨髄提供に至る。HLA型の適合者が見つかる確率は兄弟姉妹間で4分の1、非血縁者間では数百~数万分の1と一気に下がる。

その上、17年はHLA型が適合し書類を送ったドナー2万4634人のうち、1万5800人が、医師の問診などが行われる初期段階の確認検査に至らず、その96%がドナー側の理由だった。96%のうち、提供の都合がつかずが42%、家族の同意が取れずが11%で、ドナーと連絡が付かなかったケースが34%あった一方、健康の問題は32%にとどまった。

日本骨髄バンクは課題として、骨髄提供の内容自体が周知されていないことを挙げた。背骨に針を刺すという誤ったイメージが流布し、恐怖感から尻込みする人もいるが、実際は腰にある腸骨という大きな骨に針を刺す。採取自体は2時間程度で済み、全身麻酔が切れると、尻もちをついたような鈍痛が1日~1週間程度、残る程度という。

ドナーが提供しやすい環境が構築されていない点も課題だ。小島勝さん(58)は「仕事の都合が付かないという方もいた。育児休暇のような制度が出来れば」と期待する。全国347社でドナー登録に関する休暇制度はあるが、多くは大企業で、中小企業では事業主の理解が必要になる。

高齢化社会が進む中、登録者が少ない30代以下の世代への周知も、喫緊の課題だ。54歳の“定年”に近い40代中盤から上は、1歳ごとに約1万人ずつドナーがいるが、池江と同じ18歳のドナーは500人前後、36歳のドナーも7000人足らず。小島さんは「池江選手の告白で、若いドナー登録者が増えて欲しい一方、卒業された方も職場でドナー登録者の背中を押したり力添え出来ることはある。まずは理解して欲しい」と訴えた。【村上幸将】