競泳の池江璃花子の白血病公表に対する「がっかり」発言が波紋を広げた桜田義孝五輪相が、大臣として適任と判断された根拠に14日、“疑義”が浮上した。前日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相は「文科副大臣として五輪招致に尽力した」と述べたが、副大臣就任は招致後だったと判明。桜田氏は、首相をかばうように答弁したが、結局首相答弁の間違いを認めた。一方で原発事故が起きた福島県への支援を力説し、復興五輪担当としての自信を示す場面もあった。

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昨年の迷言&失言に続き、「言葉力」が再び注目されている桜田氏。14日も悪戦苦闘の答弁となった。

この日の衆院予算委でまず問題になったのは、13日の首相答弁。桜田氏を五輪相に任命した根拠を、「文部科学副大臣として東京五輪招致に大変尽力した」と発言。しかし立憲民主党会派の今井雅人氏に「招致が決まった時、副大臣でしたか」と問われた桜田氏は「招致が決まってからやりました」と、時期の違いを認めた。文科副大臣就任は、桜田氏の任命根拠を適任と判断した根拠にならず、今井氏は「虚偽答弁だ」と首相を批判した。この日の予算委に首相は不在で、質問は桜田氏に集中した。

なぜ13日に訂正を申し出なかったのかとの質問に、桜田氏は「別の質問があり、認識していなかった」と釈明。「副大臣でなくても、招致ではいろんな面で運動した」と、首相の任命に応えようとしたが、野田聖子委員長に「質問をよく聞いてくださいね」と注意されるような答弁が続いた。

当選7回の桜田氏が初入閣した昨秋の内閣改造は、入閣待望組が大量初入閣し「在庫一掃」といわれた。首相も13日、桜田氏は適任か再三問われ、「任命する時には適任と思った」と、微妙な発言をしている。

桜田氏は、東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の処理をめぐる以前の失言も、資質のなさの根拠と指摘された。すると「私の名誉のために言わせてもらう」と福島への支援経験を語り、「福島のためにやってきた自負でいっぱいだ」と力説した。前日「読んでいない」と述べて酷評された、五輪関係者のバイブル「五輪憲章」については「(今日は)読んできました」とドヤ顔。「すごい」という声援が、むなしく響いた。【中山知子】