北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した際、戦争による北方領土奪還に言及した丸山穂高衆院議員(35)は14日、所属する日本維新の会に離党届を提出したが受理されず、除名処分となった。

同党の松井一郎代表は即時の議員辞職を求めたが、丸山氏は自身のツイッターで議員活動の続行を宣言した。ただ、以前の飲酒トラブル経験から「断酒」を約束していながら、再び酒に酔った上での発言で、続投には批判も強い。辞職論はくすぶりそうだ。

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北方領土をめぐる外交交渉が続くさなか、ちゃぶ台返しのように武力による領土奪還に言及した丸山氏。発言の責任を取るとして、この日、維新に離党届を提出したが、受理されなかった。維新は党紀委員会で「不適切で容認できない」とした上で、最も重い除名処分とすることを決めた。

同党の松井代表(大阪市長)は会見で、「国会議員としてあるまじき行為。議員を今(すぐ)辞めるべきだ」と、即時の議員辞職を求めた。「国会議員として一線を越え、これまで北方領土返還に尽力されてきたすべての皆さんの行為を踏みにじる発言」「離党で許される話ではない」とも述べた。維新は安倍官邸と関係良好だけに、厳正な対応で「幕引き」を急いだ形だ。

しかし丸山氏はこの日夕、ツイッターを更新し、議員活動の続行を宣言した。「虚心坦懐(たんかい)に処分を受け止める」とした上で、「これより先は無所属にて活動する中、残りの政策の実現に向け1つ1つ前に前に進めていく」と主張。辞職要求を拒否した。

丸山氏は11日夜、元島民の訪問団長が宿舎で取材を受けていた際に割り込む形で、「戦争」発言などの持論をぶった。当時酒に酔っており、翌12日には参加者に態度をいさめられ、現地で謝罪に追い込まれた。15年末にも都内で飲酒後、一般人と口論になり、相手の手をかむトラブルを起こした。党に厳重注意され、「断酒」を誓約。再度飲酒した場合の議員辞職に言及しており、自身の発言との整合性も問われている。

維新だけでなく、政府・与党、野党に丸山氏をかばう空気は一切ない。菅義偉官房長官は会見で、「発言が事実とすれば政府の立場とは全く異なるもの」と強調。「誰が聞いても不適切な発言。個人で責任を取るべきだ」と、突き放した。

元島民団体「千島歯舞諸島居住者連盟」の河田弘登志副理事長も「長い時間をかけてロシア人と信頼関係を築いてきたのに、ぶち壊された。国会議員もやめるべきだ」と、憤った。

◆丸山穂高(まるやま・ほだか)84年1月10日、大阪府生まれ。東大経済学部卒業後、経産省入省。約3年で退官し、松下政経塾を経て12年衆院選で初当選。現在、衆院沖縄北方問題特別委員会に所属し、その流れで今回の訪問団に参加した。衆院大阪19区、当選3回。