立憲民主党など野党6党派は17日、戦争による北方領土の奪還論に言及し、日本維新の会を除名処分となった丸山穂高衆院議員(35)に対する辞職勧告決議案を、衆議院に共同で提出した。与党は採決に慎重だ。決議案に法的拘束力はなく、丸山氏は辞職勧告が可決されても拒否する意向を示している。一方、かつて丸山氏の「上司」だった橋下徹元大阪市長が、SNSで「このような国会議員を誕生させたのは僕の責任」と、初めて言及した。

決議案は、丸山氏の発言を「国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたい」と指摘。「わが国の国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない可能性もある」として「直ちに議員の職を辞するべき」と求めた。

丸山氏を除名した日本維新の会が、16日に立憲民主党に共同提出を呼びかけ、最終的にこの2党と国民民主、共産、社民各党と衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の6党派が共同提出。過去に同決議案が可決された4人はいずれも刑事責任が問われ、失言が提出理由になるのは異例だ。立民の手塚仁雄議員は「議員の身分にかかわることで慎重に扱うべき」とした上で「丸山氏の暴言は限度を超えている。看過できない」と提出理由を説明した。

手塚氏は与党にも共同提出を呼びかけたが、自民党は当初から消極的。国会議員の出処進退は本人にゆだねられているとの観点から、一貫して慎重だ。失言→辞職勧告という「前例」ができることへの警戒感もある。現状では決議案採決の見通しは立たず、与党の賛成がないと可決されない。

ただ丸山氏は、北方領土の元島民に、酒に酔った状態で「戦争」に言及。「人としてどうなのか」の声は与野党双方にある。丸山氏を守るような対応を取れば逆に自民党が批判されかねず、対応に苦慮している。

一方、丸山氏と因縁の関係にある橋下氏が、自身のツイッターで初めてこの問題に言及。丸山氏と、同様に維新を除名処分となった元衆院議員のタレント上西小百合に言及し「全く同じタイプ。このような国会議員を誕生させたのは僕の責任」と記した。辞職勧告決議案については「辞職の基準がない。選挙で落選させて現実を認識させた方がいい」と、有権者の判断にゆだねるべきと主張した。

丸山氏は15日にツイッターで、決議案が「可決されようがされまいが任期を全うする」と主張した。しかし、追い込まれたのは確かだ。【中山知子】