札幌市中央区の池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が衰弱死した事件で、児童相談所が5月に北海道警から2回にわたり、母子との面会に同行するか連絡を受けたが、態勢が整わないとして、いずれも同行しなかったことが8日、児童相談所への取材で分かった。児相は「警察が動いていることから、判断に甘えが生じた」と説明している。

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児童相談所によると、「子供の泣き声がする」と110番通報を受けた道警から、「詩梨ちゃんの母親(傷害容疑で逮捕された池田莉菜容疑者=21)と連絡を取る手段はないか」と電話があったのは5月13日午後10時ごろ。道警から「自宅に一緒に行ってもらえないか」との要請もあって、当直の一時保護所職員が児相の課長に相談した。課長が道警に「今すぐ現場に行ける態勢ではないので、明日、担当職員に家庭訪問させる」と話したという。

14日に道警から池田容疑者と15日に面会すると連絡があり、児相は予定していた家庭訪問をいったん見合わせた。道警から再び「15日の面会に同行してもらえないか」と要請があったが、担当職員が「別件対応があり、警察の方でお願いしたい」と断ったという。

児相は道警からの2回の同行要請を断り、家庭訪問を行わなかったことに「警察に甘えてしまった。絶対的な機関である警察に動いてもらっていて、警察以上のことはできないと判断してしまった」と説明した。

道警からは、母子と面会後の15日夕方に「詩梨ちゃんに小さなアザが腕とほおに2カ所あるが、暴力でできたようなものではない」と情報提供があった。池田容疑者が「子供の泣きが強く、自閉症なのでは」と訴えていたとの報告もあり、5月17、22日に池田容疑者に電話したが応答はなく、6月4日に自宅訪問も不在だったという。

児相には昨年9月、今年4月に虐待通告が2回あったが、いずれも問題ないと判断した。5月の件についても「後から考えると、虐待通告として受理すべき件だったかもしれない」としている。

児相によると、昨年寄せられた虐待通告は約1500件。職員49人のうち、虐待通告の窓口として調査担当する初動チームは11人で構成している。夜間の警察からの連絡は、当直の一時保護所職員が受ける。緊急性が高い場合は課長に連絡して、判断してもらうシステムを取っているという。