インターネット検索大手Yahoo!の親会社Zホールディングスと無料通信アプリ大手のLINEが18日、都内で経営統合に関する会見を開いた。この日、基本合意書を締結し、年末から年始を目標に最終契約を締結し、20年10月を目標に経営統合を完了する方向だ。

Zホールディングスの川辺健太郎社長(45)とLINE出沢剛社長(46)は、口をそろえて「『日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー』を目指す」と宣言。川辺社長は、ラグビーワールドカップで史上初の8強に進出した日本代表のスローガンを引き合いに「最強のOne Teamを目指す」と語った。

川辺氏は「日本は人口減を迎えるが、最初の問題が労働人口の減少。AIで出来ることがある。生産性、社会効率が落ちていくことに対し、AIは解決できるが、我々は完全には出来ているとは言えない。自然災害でもAIは防災、減災に役に立てるという意識を持っている」と、AIを軸にした新たな価値の創出、社会課題の解決を目的に挙げた。

出沢氏は「現状に対する2つの強い危機感と共通に持つ大きな志」と口にした。その上で中国、北米というグローバルテックジャイアントに対し、合併しても時価総額、営業利益、研究開発費でも約10~20分の1と大きな差がつけられている現状を挙げ「あらゆる企業がデジタル化する中で国益、文化にも影響する。日本を起点にアジアにも最高のユーザー体験を提供する」と語った。

川辺氏は「月間利用者はYahoo!が6743万人、LINEが8200万人、ビジネスクライアントはYahoo!が300万社超、LINEは約350万社を抱えている」と説明。その上で「Yahoo!はメッセンジャーのサービスは提供できていない。LINEはEコマースの点では、まだまだ。補完しあえる。我々が第3極というシナジーを作っていきたい」と統合の意義を説明した。

質疑応答では、LINEの親会社が韓国のインターネット検索大手NAVERであることから、関係が悪化する日韓関係が統合に影響するか? との質問が出た。川辺氏は「統合してから全てのことは考える。さまざまな分析を加えたが、心配はない」と心配がないことを強調した。【村上幸将】