東海道新幹線で昨年6月9日、乗客の男女3人が殺傷された事件の裁判員裁判の論告求刑公判が9日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)で開かれた。

殺人や殺人未遂の罪に問われた小島一朗被告(23)に検察側は「一生刑務所に入りたいという身勝手な動機による凶悪な無差別殺人」と無期懲役を求刑した。判決は18日に言い渡される。

   ◇   ◇   ◇

元東京地検検事の若狭勝弁護士(63=前衆院議員)の目 個人的には死刑を求刑すべきだと思う。過去の判例が求刑に影響したのではないかと思われますが、犯行は卑劣な無差別殺人で被告の強い殺意は明らか。さらにこれまで、公判などの言動からは服役しても更生する可能性には疑問を持たざるを得ない。

裁判員裁判は裁判員が疑問を呈し、それを議論していくことを前提としています。その市民感覚こそが重要なのですが、検察側が裁判員にゲタを預けてしまってはいけません。

市民感情、市民感覚からは死刑求刑が、妥当だと思います。だが、論告求刑で無期懲役とされたことで死刑判決は99%なくなったとみていい。最高でも無期懲役で、それが、ほぼ決まったようなもの。また有期刑となってしまう可能性だってあります。

今回の事件は現在の日本社会のあり方を考える重要な事件でもあると考えます。亡くなられた男性は無差別殺人の犠牲となった。重傷を負わされた女性を助けようと勇気をふるって、自力で卑劣極まりない犯行に立ち向かった。こういった事件にどう社会が対応していくのかを問われている。