大阪府の吉村洋文知事(45)は24日、府庁で定例会見を行った。30日から始まる大阪大発ベンチャー「アンジェス」が開発中の新型コロナウイルスのワクチンを人に投与する臨床試験(治験)について言及した。 ワクチンはこれまでに動物実験で安全性にめどがついたとし、まずは大阪市立大病院の医療従事者20~30人を対象に実施するが、吉村知事は安全性面の議論で「ネット上では『(医療従事者に最初に投与するのは)おかしいんじゃないか』という意見があるのは知っている」とした上で、「それだったら、僕を最初に治験者にしてもらっていい。必要であれば、僕が最初にやりますよ。治験にたどりつくまでは、動物実験、国の認証だとかがある。きちんとして手続きを踏んでからやる」と強調した。「それでも医療従事者らからが『おかしい』というのであれば僕が第1号でやります」と話した。

府と大阪市は4月、ワクチン開発促進のため府内の大学や病院の運営法人と連携協定を締結。ワクチンは、遺伝物質DNAを注射して体内でウイルスの一部を合成し、本物のウイルスが侵入した際に動きを止める抗体を人体に作らせる。初期段階の治験で人での安全性にめどがつけば、10月には治験の対象を拡大。国の認可を得た上で、来年の実用化を目指す。府によると、ワクチンの治験は全国初となる。