ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が20日、15年4月に元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(54)から性的暴行を受けたと17年に実名を公表して明らかにした後、インターネット上で事実に基づかない誹謗(ひぼう)中傷の投稿により精神的苦痛を受けたとして、工学者で株式会社Daisy代表取締役の大沢昇平氏(32)に対して、110万円の損害賠償などを請求する訴訟を起こした。この日午前、訴状を提出した。

訴状によると、大沢氏は、伊藤さんが6月8日に、ツイッター上で「枕営業」などの誹謗(ひぼう)中傷の投稿で精神的苦痛を受けたとして、漫画家はすみとしこことA氏、同氏のツイートをリツイートした2人を相手に損害賠償などを請求する訴訟を東京地裁に起こした件について、同10日にツイッターで

「伊藤詩織がはすみとしこを訴えるって話だけど、どういうロジックで訴えるんだ? 別に伊藤詩織を名指しで誹謗中傷してるわけじゃないから、名誉棄損には当たらないでしょ」

「伊藤詩織の何がダメダメかって、刑事裁判でレイプが認められなかったにもかかわらず、その後の民事裁判の結果をレイプを関連付けている点。今回もやってることの筋が通っておらず全く支持できない」

などと、批判的な投稿をしたとした。

大沢氏は、東大大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授だった19年11月に、ツイッターで「弊社Daisyでは中国人は採用しません」など、差別的な投稿などを繰り返した。そのことを受けて、東大から1月15日付で懲戒解雇処分を受けている。