将棋の高校生プロ、藤井聡太2冠(棋聖・王位=18)が17日、名古屋市内で行われた第14期朝日杯オープン戦の本戦トーナメント1回戦で大石直嗣七段(31)、準々決勝で豊島将之竜王(叡王=30)を破り、ベスト4に進出した。過去6戦全敗だった“ラスボス”の豊島と7度目の対戦でついに初勝利を挙げ、超えられなかった壁を突き破った。

3月には高校を卒業するが、卒業後も地元・愛知を本拠地にし、史上初の「10代3冠」を目指す。

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新しい戦法の「早繰り銀」を豊島竜王にぶつけて勝て、大きな壁を突破できたと思います。研究してきたと思われる序盤の踏み込み、後手3九銀の飛車金両取り、後手1三桂の活用、後手8六歩~後手8七歩といった絶妙手は、今後の戦いに幅が持てそうです。

私もかつて中原誠十六世名人に8年間で20連敗しました。苦手意識を振り払うため、相手を上回るさえた攻め、序盤の研究、優勢になっても底力で逆転されないよう慎重に指すことを心掛け、中原さんから多くのタイトルを奪いました。

藤井さんはあの若さで、昨年4~6月のコロナ禍による対局中止時、冷静に自分の指し方を見つめ、棋聖と王位を奪取したほどの人。今年も順位戦B級2組の全勝昇級、朝日杯2年ぶりの優勝、3月の高校卒業後のタイトル防衛と、活躍を期待しましょう。(加藤一二三・九段)