大相撲初場所千秋楽で西前頭筆頭の大栄翔(27=追手風)が埼玉県出身力士として初となる優勝を果たした24日、出身地の朝霞市が沸いた。優勝の瞬間を見守った後援会の会員や地元住民、大栄翔が激励訪問を続けている介護老人保健施設の入所者からは、快挙への歓喜とその人柄への感謝の声が上がった。

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大栄翔の優勝は、地元朝霞市の高齢者たちにも元気を与えた。4年連続で激励訪問を続けている同市内の「医療法人わかば会 介護老人保健施設つつじの郷」では、食堂の大型テレビ前で応援する利用者も多かった。この日の対戦相手、隠岐の海を突き出した、優勝決定の瞬間、観戦していた男性が「ウオ~、ヤッタ~」と声をあげて喜びを表現。ちょうど配膳時間帯だったこともあり、部屋は拍手と笑顔があふれた。

朝霞地区の医師会会長を務めていた浅野修理事長が後援会を立ち上げたことにより、交流が始まった。訪問は例年、初場所後が恒例。餅つきイベントだけでなく、相撲と同様「東西」の2フロアに分かれている約100人の利用者と触れ合ってきた。同施設の事務担当者は「1人1人手をとって、大きな手で包み込んでくれる。記念写真にも気軽に応じてくれ、涙を流す方もいます。いつも、お相撲さんの力を感じていますが、優勝という形で、さらにパワーをいただいた様子でした」と感謝した。

今年はコロナ禍の影響により訪問は未定だが、施設では優勝を祝う横断幕を製作する計画もある。コロナ収束後になるが、入所者にとって“孫”との祝賀会開催も活力となりそうだ。【鎌田直秀】

◆朝霞市 埼玉県南部、東京都練馬区との県境に位置する。人口約14万3000人。面積18・34平方キロメートル。67年の市制施行で町から市に。本田技術研究所や、陸上自衛隊朝霞駐屯地などで知られる。主な出身有名人に、故尾崎豊さんや田中みな実、魔裟斗らがいる。