身内の自公議員の不祥事に見舞われた菅義偉首相を、新たな問題が直撃した。今度は正真正銘の身内である長男の「接待疑惑」を、4日発売の週刊文春が報じた。

放送事業会社「東北新社」に勤める長男が、放送行政などを所管する総務省幹部に、個別接待をしていたとする内容。首相は衆院予算委員会で野党の追及に釈明を重ねたが、「私が今、うそを言ったような言い方じゃないですか」と気色ばむ場面もあった。

文春の報道によると、首相の長男は昨年10月から12月に東京都内の料亭などで総務省幹部4人を複数回、接待して会食後には手土産やタクシーチケットを渡したという。長男が勤務先の子会社の事業が総務省から許認可を受けており、今回の会食は国家公務員倫理法に基づく倫理規程が禁じる「利害関係者」からの接待に当たる可能性がある。

首相は「全体は掌握している」と認めた。記事の写真について立憲民主党の黒岩宇洋氏に「長髪の方でタクシーチケットを総務省の官僚に渡している。どなたか」と問われた首相は「(長男か)どうか分かりません。確認していません」とかわした。長男から連絡があれば「事実に基づきしっかり対応するように」と話したというが「私と長男とは、完全に別人格だ。長男にもプライバシーがある」と、感情的に反論した。

首相は総務相を務めたことがあり、総務相時代には長男が秘書官を担当。会食した複数の幹部は長男と秘書官当時に知り合ったとされる。倫理規程では利害関係者との会食で、自己の飲食費が1万円を超える場合には届け出が必要。会食に出席した同省の秋本芳徳情報流通行政局長は会食の事実を認め、事後に返金したと釈明したが、一方で「現在調査を受けている」として、詳細な説明は避けた。

新型コロナウイルス対応で支持率低下が止まらない首相の政権運営をさらに厳しくする火種が浮上。他人ごとではなく「首相案件」(関係者)のスキャンダルだけに深刻だ。【大上悟】