政府は新型コロナ対策分科会の尾身茂会長による東京五輪・パラリンピックのリスク提言の対応に揺れている。8日の参院厚生労働委員会で立憲民主党の田島麻衣子氏から、「分科会がリスク評価することについて政府の諮問は必要なのか」との質疑に対し、政府は「諮問答申の規定はない」(内閣官房)とした。

これを受けて田村憲久厚労相は「分科会の中で決定された事項は当然、政府の中での決定事項」と、尾身会長の提言を受け入れることを明言した。これまで田村氏は「自主的な研究の成果の発表」と、尾身提言を非公式なものとするかのような趣旨の発言をして批判され、7日に「あくまで一般論として申し上げた」などと弁明していた。

西村康稔経済再生相は7日、「分科会はオリンピックの開催の可否など審議する場所ではありません。権限はありません」と明言するなど、影響力のある尾身会長の提言に神経をとがらせている。