21日夕から東京・新宿区と文京区の一部で都市ガスの供給に支障が出ていることについて、東京ガスは25日、約6500戸でガスを使用できない事態となっていると発表した。

ガスが停止したのは新宿区では山吹町が2845戸で最多で、早稲田鶴巻町は1072戸、水道町では240戸、改代町153戸、榎町26戸、天神町12戸、文京区では関口1丁目で2514戸の計6562戸で不通となった。そのうち24日午後8時までに復旧したのは2341戸で進捗(しんちょく)率は35・7%となっている。

東京ガスは原因については調査中としながら「8月に入って日本列島を襲った集中豪雨の影響なのではないか」と話し、ガス管内に入り込んだ土砂と雨水を都水道局と連携してガスと水の供給を停止しながら、工事を進めている。

東京ガスでは24日から被害を受けた地域に出張所を設けてカセットこんろの無償レンタルを実施し25日夕までに数百台を貸与したという。特に新宿区山吹町では工事が難航を極め復旧見通しを26日いっぱいとしている。

山吹町に60年住む主婦は「こんなことは初めてだわ。お食事はなんとかなるけどお風呂が困っちゃう。都の広報車が住民であれば銭湯は無料で入れるというけど、このコロナ禍だからちょっと怖くていけない。だから、お借りしているカセットこんろでお湯を沸かしてタオルで体をふいています」と話してため息をつき「東京ガスもツイッターで情報を出したらしいけど、私にはわからない。町内会の回覧板とかで何ができるのか知りたいわ。お隣の改代町は回覧板がまわったみだいだけど」と不安そうに話していた。

改代町のピザ店「ノーベ」のオーナーシェフ田中亮平さん(38)は「ピザ専門なのにピザが出せない。なんとかパスタは時間はかかりますが提供できる。24日にお隣のお宅でガスが通ったと聞いて安心していたら、ウチはまだ復旧していない。店をオープンして4年ですが、千葉を襲った台風とかコロナとかいろいろあったけど、ガスまで止まるとは思わなかった」と苦笑いし「誰が悪いわけでもない。仕方ないですね」とつぶやいた。

改代町の銭湯「竹の湯」にはひっきりなしに利用客が訪れた。ほとんどがガスの通っていない地元住民で無料で入浴していた。午後3時に開店するが、竹の湯では「15分ほど早く開けている。すでに行列ができていて、午後9時ぐらいになると列は店の外まで続いてしまう」と話し「銭湯はこんなときしか役に立てないからね。通常の4倍ぐらいかな人数は。いやー、暑いね」と額の汗をぬぐった。【寺沢卓】