国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の、ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が、食料品宅配サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の特別配達パートナーとして、ISSに先に滞在していた宇宙飛行士に新たな食料を届け、同社史上初の宇宙へのデリバリーを成功させた。受け取った宇宙飛行士は「多分、宇宙へのデリバリーは初なのではないでしょうか? 私たちが初めてですね」と、宇宙へのデリバリー自体が初めてではないかと指摘した。

前澤氏が、民間人としてISSに滞在する初の日本人になったことに続き、歴史的なチャレンジに成功した。ソユーズMS-20に乗り込み、8日午後12時38分(日本時間同4時38分)カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、約6時間後の同6時48分(同10時48分)国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功。8日午後9時11分(日本時間9日午前1時11分)にハッチが開きISSに入ると、無重量空間を浮遊しながら、宇宙飛行士に「Hey! Uber Eats!」と呼び掛け、紙袋を手渡した。宇宙飛行士は前澤氏のサプライズに驚いた様子も「Thank you for coming to space!(宇宙にまで来てくれてありがとう)」と感謝し、受け取った。

紙袋の中身は、宇宙渡航のために特別に作った「MZ宇宙缶詰」で、サバのみそ煮、牛丼、鶏たけのこ、豚の角煮の4種類。渡した時間は、前澤氏が地球を出発してから約8時間34分後の11日(日本時間)で、配達時間、400キロの移動距離ともに、ウーバーイーツの歴代の1回の配達における配達時間、距離の記録を大きく更新した。

ISSに新たに届く食料物資は「ボーナスフード」と呼ばれ、滞在する宇宙飛行士にとって最大の楽しみの1つとなっている。「宇宙飛行士が待ち望むボーナスフードを日本から届けたい」という、前澤氏の思いにウーバーイーツが賛同し、今回のプロジェクトが実現した。同氏は打ち上げ前日7日の会見で、先に滞在する宇宙飛行士に何か持っていくかと聞かれ「サプライズでギフトを持って行こうと思っています」と語っていたが、それは「MZ宇宙缶詰」のことを指していたとみられる。

前澤氏は「ISSの宇宙飛行士宛てに、幾つかのフードを届けさせてもらいました。僕も引き続き挑戦をやめませんし続けてまいりますので、皆さんも今後も頑張って、いろんな挑戦続けてください。世の中を、どんどんいい方向に変えていきましょう」と語った。その上で「以上、国際宇宙ステーションよりフードデリバリー担当の前澤でした。ありがとうございました」と、あいさつした。

届けられた宇宙飛行士は「もちろんうれしいです。これから日本食を試します」と喜んだ。その上で「地球上と同様、地球から宇宙までデリバリーができることは、とても重要だと思います。もしウーバーイーツのような会社に頼んで宇宙まで食べ物、飲み物など、さまざまな物を注文出来たら最高だね。いつか現実になることを願っています」と期待した。

Uberのダラ・コスロシャヒCEOは「前澤友作さんにとっては小さなお届けものですが、ウーバーイーツにとっては非常に大きな意味を持つデリバリーです。宇宙へのデリバリー成功に協力することができ、月まで跳び上がるほどうれしく思います」と今回の試みの意義を強調した。

その上で「私たちは、人々がどこへ行くにも、何を買うにも、そのお手伝いができる存在になれることを目指しています。その点で、ISSの宇宙飛行士のみなさまにお届けものができたことは、何よりの誇りです。通常のウーバーイーツの配達時間30分より少しばかり時間がかかりましたが、前澤さんには最高の『いいね』が送られていることでしょう」と賛辞を送った。