藤井聡太叡王(竜王・王位・王将・棋聖=19)への挑戦者を決める、将棋の第7期叡王戦挑戦者決定戦、出口若武五段(26)対服部慎一郎四段(22)戦が2日午前10時、都内で行われた。対局は午後4時48分、142手で出口が勝ち、うれしい初挑戦を獲得した。出口はタイトル戦自体、初登場。同時に六段に昇段となった。

五段予選を勝ち上がった出口は、服部より1年前の19年4月に四段となった。プロ棋士養成機関「奨励会」三段時の18年に新人王戦で決勝まで進出。藤井に2連敗したが、準優勝している。デビュー後、19年12月の王位戦予選と20年3月のテレビ棋戦「銀河戦」でも連敗したが、同じ20年3月の棋王戦予選で白星を挙げている。今回はそれ以来の対決となる。

四段予選を勝ち上がった服部の史上4人目の最低段位の四段で挑戦権獲得(過去は89年11月の棋聖戦の屋敷伸之現九段、92年5月の棋聖戦の郷田真隆現九段、19年12月の本田奎現五段の3人)はならなかった。

叡王戦は段位別に予選を行う。四段は14人参加して勝ち上がりは1枠、五段は21人参加でやはり1枠。服部と出口は「狭き門」を突破してきた。六段は24人で2枠、七段は49人で2枠、八段は25人で3枠、九段は30人で3枠。この予選通過の合計12人と、前叡王の豊島将之九段(31)、前期挑決敗退の斎藤慎太郎八段(28)、同4強の丸山忠久九段(51)と佐々木大地五段(26)のシード棋士4人の計16人による勝ち抜き戦で挑戦者を決める。

今期、藤井叡王にとっては年上の後輩と初めて頂上対決をすることになる。5番勝負第1局は4月28日、東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われる。

【第7期叡王戦5番勝負日程】

◆第1局 4月28日、東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」

◆第2局 5月15日、名古屋市「名古屋東急ホテル」

◆第3局 5月24日、「三井ガーデンホテル柏の葉」

◆第4局 6月12日、名古屋市「か茂免」

◆第5局 6月19日、京都市「北野天満宮」

<藤井竜王と出口六段比較>

【藤井竜王】

プロデビュー 2016年(平28)10月

昨年度成績 52勝12敗(勝率8割1分3厘)、

通算成績 265勝52敗(8割3分6厘)

主な戦績 20年棋聖戦、王位戦制覇。21年棋聖戦、王位戦防衛。叡王戦、竜王戦、王将戦でタイトル奪取し、史上最年少5冠。22年3月A級昇級

師匠 杉本昌隆八段

独身

【出口六段】

プロデビュー 2019年4月

昨年度成績 39勝14敗(7割3分6厘)

通算成績 102勝44敗(6割9分9厘)

主な戦績 18年新人王戦準優勝、21年3月C級1組昇級

師匠 井上慶太九段

職場結婚 妻は北村桂香女流初段(昨年4月、結婚)