害鳥のイメージも強いカラスだが、東京都心部では激減していることが分かった。01年に東京都が発足した「カラス対策プロジェクトチーム」による公園などでの捕獲や、区市町村に徹底を促してきた生ゴミ収集方法改善が大きな要因だ。都が約40カ所で実施してきた生息数調査では01年度比べて20年度は約70%減。コロナ禍で飲食店密集地のゴミが減少している影響も多少はある。一方で都心を少し離れたベッドタウンでは、これまで少なかったゴミを荒らさないミヤマガラスが大量発生する事例もあり、カラスを取り巻く様相が変化する可能性も出てきた。

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久しぶりにカラスに襲われた。今月11日、「カラスが増えている」と言われている埼玉県越谷市へ向かった。JR南越谷駅と東武伊勢崎線新越谷駅の共通広場でカラスにカメラを向けた途端、後方から頭を狙われた。目の前には大柄なハシブトガラスが目視出来るだけで12羽。女子大生も手にした紙袋に急接近されて「キャー」と悲鳴を上げて逃げる場面もあった。交番の警察官は「最近は駅周辺の飲食店を狙って、線路下にたくさんいます」。タクシー運転手が「朝はもっと多い。ふんもすごい。でももっとすごい場所がありますよ」と明かした神社に向かった。

「あれ、いないなあ」。午後1時に到着した感想だった。散歩中の女性から「冬は大学のほうにたくさんいた」と情報を得た。「もしかしたらミヤマガラスか」。渡り鳥のミヤマガラスはいなかったが、田園風景にハシボソガラスが散見。午後6時前、夕暮れの神社へ逆戻り。昼間とは一変した。「カーカー」の声とともに東西南北から黒い姿が飛んでくる。午後7時前後の日没前には、ねぐらにしている林の近くのマンション屋上やテレビアンテナなどにビッシリとカラスが集合。声も大音量に。まさに1日を終えて情報交換するミーティングが繰り広げられているようだった。帰宅した住民も「秋から冬はもっとすごい。空が一瞬カラスで真っ黒になるような感じ。洗濯物も干せないし、怖い」と困り顔。日没を過ぎると、一斉に林の中へ消えた。姿も声もなく静寂に。異様な雰囲気だった。【鎌田直秀】