ボクシングWBA世界ライト級王者ジャーボンテイ・デービスとローランド・ロメロのレギュラー王座タイトルマッチが行われていた米ニューヨーク市ブルックリンにある室内競技場バークレイズ・センターで28日、大きな音を銃声と勘違いした人々がパニックを起こし、一斉に会場から逃げ出す騒ぎが起きた。

米CNNなどによると会場には女子テニスの大坂なおみも観戦に訪れていたといい、その時の恐怖体験をツイッターに投稿している。「突然叫び声が聞こえ、人々が逃げ出すのを見た。銃撃犯がいるといわれ、室内で身を伏せてドアを閉めなければならなかった」とツイートし、その後も自身の無事を報告しつつ「みんなが無事でいることを願っています」とつづっている。

ニューヨーク・デイリー・ニュースによるとスタジアムの内外で銃撃は起きておらず、騒動の原因は不明ながら24日にはテキサス州ユベルディの小学校で児童19人を含む21人が犠牲になる銃乱射事件が起きたばかりで、急増する銃撃に人々が敏感に反応した結果だったとみられる。芸能情報サイトTMZは、会場には大坂の他にも著名人が訪れており、その1人が歌手マドンナだった伝えているが、騒動が起きたのが試合終了後だったため、その場に居合わせたかどうかは分かっていないという。TMZによると、逃げ出す際のパニックで押し倒されるなどして、少なくとも10人が負傷し病院に搬送されたという。

大坂は29日、「いつからかは分からないけどこの何年も銃乱射事件のニュースに慣れてしまっている。同じことが繰り返されている気がして、自分がその状況に遭遇した時のために、脳がスイッチを入れて準備をしている」と頻発する銃乱射事件について言及する文章をSNSに投稿。以前は映画館に行くのが好きだったが、上映中に人が入ってくるたびに心臓が締め付けられるため、今ではほとんど行かなくなったと述べ、精神的に影響を受けていることを明かした。その上で、スタジアムでの騒動を経験していろいろ考えさせられたと語り「私は幸い警備員が一緒だったけど、あの状況で1人だったらと思うと、まして子供1人で誤報ではなかったと思うとつらい」と心中を吐露。誰にもそんな経験はして欲しくないと述べている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)