ソウル市消防当局は30日、韓国・ソウル市の繁華街、梨泰院(イテウォン)地区でハロウィーン・パーティーのために集まった多くの若者らが29日夜に転倒した事故によって、154人が死亡、130人以上が負傷したことを明らかにした。多くが圧死とみられる。

日本政府関係者によると、その中には10代と20代の日本人女性2人が含まれている。亡くなった20代の日本人女性は北海道根室市出身の冨川芽生さん(26)とみられる。外務省から家族に連絡があった。語学留学中だった。韓国側関係者によると、もう1人の日本人女性は18歳で、留学生とみられる。

死傷者の多くは10代、20代の男女で、時間の経過とともに死者が増えている状況だ。

梨泰院は、日本人の観光地としても有名で、人気ドラマ「梨泰院クラス」の舞台となっており、国内でも若者たちがショッピングや会食などとを楽しむソウル屈指の繁華街として知られる。

29日夜は3年ぶりにノーマスクでハロウィーン・パーティーが開催され、多くの人が集まっており、事故が起きた29日午後10時ごろには10万人を超す人々が訪れていた。

複数の韓国メディアの報道によると、29日午後10時24分ごろ、「梨泰院で多くの人が倒れている」という複数の通報が警察に寄せられた。事故が起きた場所は坂道になっており、幅約3メートルの狭い道で人が次々に押し倒され、折り重なるように倒れた。韓国メディアなどが伝えた救助の様子では、何十人もが折り重なって倒れているのを救急隊員らが一人ずつ懸命に引っ張り上げたが、すでに意識がなくぐったりしている人も。

一方で少し離れた場所では、事故を知らない仮装した人たちがハロウィーンを楽しみ続け、現場周辺は混沌とした。韓国SBSテレビが取材した現場目撃者によると「道が混雑していて前に動ける状態じゃなかった。お酒を飲んでいる人が多く、道も滑りやすい状態だった」という。

目撃者への取材では、事故は午後10時すぎに起きたという。けたたましいサイレン音が鳴り響き、多くの救急車が梨泰院中心部に集まったという。ただ、事故現場の歩道は狭く、救急車が近くまで近づけるような状態ではないという。心肺停止状態の人が多数おり、救助隊を中心に仮装した人たちも必死に心臓マッサージをしていた。

韓国警察はハロウィーンに備え約200人の警察部隊を配置したが、同日ソウルの各地では大規模のデモが行われていたため、それ以上の応援はできなかった模様。