月全体が地球の影に入る「皆既月食」が8日夜に起こり、天候が良ければ全国で見ることができる。今回は、その最中に、天王星が月に隠れる「天王星食」も、小笠原諸島を除くほとんどの場所で起きる。特に東京近辺より西の地域では、月の「皆既食」の最中に、天王星が月の後ろに入りこむ「潜入」が始まる。

日本で皆既食中に「惑星食」が起こるのは、安土桃山時代の1580年(天正8)7月26日の「土星食」以来、約442年ぶり。また、日本で次回、皆既食中に惑星食が起こるのは、322年後の2344年7月26日の土星食となる。8日は今のところ、晴れているところが多く、各地で極めて珍しい天体ショーを観察できるかもしれない。

全国で見られる皆既月食は21年5月以来で、今回は8日午後6時9分から月の一部が欠ける「部分食」が始まり、皆既食は同7時16分から同8時42分まで86分間続く。同9時49分に部分食が終わる。この進行は、どこで見ても、同じ時刻。

天王星は明るさが約6等級で「空が十分に暗い場所で目の良い人がやっと見えるほどの明るさ」(国立天文台)。天王星食は月が普段の明るさなら観察は難しいが、今回は皆既食によって月が暗くなるため、比較的観察しやすい状況。国立天文台は「はっきりと観察するには、双眼鏡や望遠鏡が必要」としている。

天王星の潜入は、東京近辺より西の地域では皆既食の最中に、それより東の地域では皆既食が終わった後の部分食中に始まる。月の後ろから再び出てくる「出現」は、いずれの地域でも皆既食が終わった後の部分食中に起こる。潜入開始は、那覇で午後8時13分、京都で同31分、東京で同40分、札幌で同49分と予報されている。

全国で見られる次回の皆既月食は、2025年9月8日となる。

 

★天王星(Uranus) 太陽系の第7惑星。木星、土星に次いで3番目に大きい。直径は5万1118キロで、地球の約4倍。公転周期は約84年。1日は約17時間。自転の軸がほぼ横倒しになっている。主に氷、ガスでできている。衛星は27。