国土交通省が「走る広告塔」として期待する図柄入りナンバープレートが来年10月から拡大される予定で東京都などが新たに交付を目指している。
都は図柄入りナンバープレートの3候補について都民からアンケートを募集し、13日に締め切った。今月末までに候補を決定し、申請を予定している。観光資源や風景などを図柄化して地域の魅力を発信する取り組みをチェックした。
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図柄入りナンバープレートは、地域の風景や観光資源などを図柄として地域の魅力を全国に発信し、導入地域の振興、観光促進を目的に2018年10月1日から交付を開始した。地方版から導入され、全国版では19年日本で開催されたラグビーワールドカップ(W杯)、昨年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック仕様(交付終了)、現在では大阪・関西万博の特別仕様があり乗用車、大型トラック、軽自動車、2輪車などに交付されている。
東京都は来年10月の交付へ向け、13日まで3図案のアンケートを行い、最も導入意向が多かった案を採用する。図案は(1)ソメイヨシノと東京タワー、(2)都の花ソメイヨシノ、(3)東京の伝統工芸「江戸切子」の代表的文様・矢来(やらい)。都産業労働局企画調整課は「東京の魅力を発信し、観光振興などで盛り上げていきたい」としている。
都内ではすでに世田谷、杉並、江東、葛飾、板橋の5区が地域版図柄入りナンバープレートを導入している。東京都版の交付が始まれば、5区では地域版か東京版のいずれかを選択できる。図柄入りのない品川、練馬、足立、多摩、八王子は東京版のみとなる。
一方で都の参入によって競合する先行5区からは異論が上がる。江東区は20年5月から区内の「東京ゲートブリッジ」の図柄入りナンバープレートの交付をスタートし、パンフレットなどのPRに努め、普及率は2・69%(9月末時点)と地方版の図柄入りナンバープレートを導入している58自治体中6位と健闘している。「相乗効果で増えるとしているが、民間企業の競争原理を導入するのは疑問がある。ひとつの商品なので現実問題としてありえないだろう」(江東区地域振興部)としている。
ナンバープレートの交付手数料は自治体ごとに異なる。東京都では乗用車などの登録車に交付される通常ペイント式のものは1450円(2枚組み)で、先行5区の図柄入りナンバープレートの交付料は7380円(いずれも9月26日現在)、ラグビーW杯と東京五輪・パラリンピック版の交付料は8000円だった。
また図柄入りナンバープレートは1000円以上の寄付をすることでカラーの図柄となり、(公財)日本デザインナンバー財団が寄付金を管理し、その75%を図柄入りナンバープレートが導入されている地域の交通改善、観光などの事業振興などに充てられる。
国交省には東京都を含めた10自治体から新規導入の申し込みがあり、来年10月には68自治体に拡大する見込みだ。自動車評論家の松下宏氏は「地方自治体が特徴を出したいと増え、ユーザーも他の人とは違うプレートを付けたいという意識が結構ある。ラグビーW杯や東京五輪・パラリンピックでは軽自動車が黄色ナンバーではなく、白ナンバーになったので交付した人も多かった」と今後も導入は加速すると分析する。
東京都の新たな「走る広告塔」は3図案のいずれになるか。早ければ、来週にも発表される見込みだ。【大上悟】
◆東京都の車両登録台数 関東運輸局が今年7月末時点で発表した東京都の車両登録台数は307万6853台。国交省が8月末時点で発表した全国の登録台数(軽自動車、2輪車を含む)は7851万673台。
◆地方版図柄入りナンバープレートの申請要件 各区市町村の登録車10万台以上か、登録車と軽自動車の合計が17万台以上。複数地区町村で導入する場合は登録車は5万台以上、または登録車と軽自動車の合計が8・5万台以上。
◆ラグビーW杯、東京五輪・パラリンピック特別仕様 ラグビーW杯は登録車約6・4万枚(寄付あり=約5・6万枚)、軽自動車は約46万枚(寄付あり=約8万枚)。東京五輪・パラリンピックは登録車約39万枚(寄付あり=約24万枚)、軽自動車約485万枚(うち寄付あり=約25万枚)
◆地方版図柄入りナンバープレート 国交省は新たな導入の要望等を踏まえ、今年4月26日から新たな地方版図柄入りナンバープレートの導入等の受け付けを開始した。新たな図柄の導入のほか、既存の地域名表示(ご当地ナンバーに限る)や図柄の変更についても申請を受け付けている。導入の意向表明は11月30日まで。来年10月の交付を予定している。

