外国人の収容・送還のルールを見直す入管難民法改正案は8日、参院法務委員会で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決された。

採決の際は、現法案に反対する立憲民主党や共産党、社民党などの議員が採決しないよう大声で求め、採決を阻止しようとする議員らの怒号が飛び交い、委員会室は騒然とした空気になった。

れいわ新選組の山本太郎氏は、杉久武委員長(公明党)の背後から飛びかかろうと試みたが、委員長席の周りを固めた与党議員に阻まれてかなわず、委員長は法案の可決を宣言した。

採決に先立ち、討論に立った立民の石川大我氏は「数千人の人の命を危険にさらす法律。断固反対だ」と反対を訴え、共産党の仁比聡平氏は「今からでも遅くない。法案撤回の決断をしないと、当事者や支援者の思いを断ち切ることになる」と斎藤健法相に求め、審議を尽くすよう求めた。

改正案は、不法滞在などで強制退去を命じられても送還を拒む外国人の退去を進め、入管施設への長期収容を解消するのが目的。入管当局は、送還を逃れる意図で難民申請を繰り返すケースが多いとみていて、難民申請中の本国への強制送還停止を原則2回に制限する。しかし、本国で迫害の恐れがある人まで帰してしまうとの懸念があり、人権上の観点から反対の声が出ている。改正案は9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する見通し。