藤井聡太JT杯覇者(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が連覇を達成した。「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦(JT杯)」決勝関東大会で19日、東京ビッグサイト(東京都江東区)での公開対局で行われ、初の決勝に進出した糸谷哲郎八段(35)を149手で下した。

藤井は10月に王座を奪取。将棋界で8つある全タイトルを制覇。JT杯でも史上8人目の連覇を達成し、今年「9冠」を獲得した。同時に公式棋戦優勝数を10回(JT杯2、銀河戦2、朝日杯4、NHK杯と新人王戦各1)とした。

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藤井のギアが上がった。寄せ合いになって看板の終盤力を発揮し、投了に追い込んだ。「糸谷八段の右玉に対し、こちらが仕掛けたが切り替えされて苦しいと思いました。受けに回って、すぐ負けてしまわないよう粘り強く戦い、勝ちに結び付けられました」。

角換わりの序盤は1手1手含みを持たせる駒組みとなった。構想力と決断力が問われる局面から、駒がぶつかる。糸谷の入玉を阻止して、V2を決めた。「難しい将棋だっただけに、優勝という結果はうれしく思います。来期も本局のような戦い方をしたいです」。約3000人の観戦者を前にこう締めくくった。

11日には竜王戦3連覇を達成し、故大山康晴15世名人の持つタイトル戦19期連続獲得の記録に肩を並べた。13日は内閣総理大臣顕彰式、17日はJT杯決勝記念のトークイベントに出席と慌ただしい公務をこなしながら、結果を出した。

昨年度はJT杯を皮切りに銀河戦、朝日杯、NHK杯と、将棋界初の公式棋戦4冠を達成。本年度もまずは第1関門を突破した。

今年は、タイトル獲得通算99期、将棋界のレジェンド羽生善治九段(53)と初の頂上対決となった王将戦7番勝負から始まった。3月には5冠を保持しながら、棋王戦で11連覇を目指した渡辺明棋王(当時)からタイトルを奪い、史上最年少で6冠となった。6月には渡辺から名人を奪取し、谷川浩司17世名人(61)が83年に達成した21歳2カ月の最年少名人を40年ぶりに塗り替えた。その後、棋聖戦と王位戦で佐々木大地七段(28)の連続挑戦を退け、王座奪取に竜王防衛と、活躍し続けた。

来年はまず、相前後して始まる王将戦か棋王戦のどちらかを先に防衛できれば、タイトル戦20期連続獲得の「大山超え」となる。若き8冠は昇竜のごとく、上昇する。【赤塚辰浩】