小泉進次郎農相(44)は20日、自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)への出馬を正式表明し、「国民の安心安全を体現できるのは自分だ」と豪語した。「決着」をテーマに掲げて改革路線を強調した昨年とは対照的に、今年のキャッチフレーズは「立て直す」。独自色も“封印”し、「党再生への取り組みこそ私の政治家としての原点」と訴えた。異例の土曜日開催となった大トリ会見で、候補5人が出そろった。国民の信頼は本当に自民党に戻るのか。出直しをかけた新総裁選びが始まる。
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「足らざる所は何だったのか自問自答し、与えられた役割をまっとうするため全身全霊で汗をかいてきた」。進次郎氏の2度目の総裁選出馬会見は、石破茂首相に敗れてからの1年の振り返りから始まった。
少数与党に陥った今の自民党を「事実上、野党に近い」とした上で、「自分の思いを抑えてでも党の一致結束に汗をかいた」野党自民党時代の谷垣禎一元総裁(80)に、再三言及。自身が初当選した09年に総裁に就任した谷垣氏が始めた国民の声を直接聴く「なまごえプロジェクト」の再始動を表明し、「初当選から16年、自民党は再び危機にある。もう1度国民の声を聴き、国民が求める安心安全を実現する政党にするため、先頭に立つ決意だ」と訴えた。
イメージカラーの青のボードを背景に、改革への思いを語った昨年とは雰囲気が一変。会議室の無機質な壁を背に、用意した紙に時折目を落としながら、政策を訴えた。
物価高対策など経済政策に最優先で取り組むとし、2030年度までに平均賃金100万円増を目指す政策も公表。参院選で党が掲げた国民1人2万円給付については「現実問題、なかなか難しい」と述べた。一方で与野党で合意したガソリン暫定税率廃止の早期実現や、国民民主党肝いりの「年収の壁」のさらなる引き上げにも言及。「あらゆる選択肢を排除せず、政党間協議を進める」と野党との関係にも触れた。
昨年の目玉政策だった解雇規制見直しや選択的夫婦別姓導入は、実質的に『封印』した。「今の自民党が大きなことを言える立場ではない」と述べた。本命視されながら、政策に関する発言などが原因で失速した失敗を繰り返さないためか、幅広い層の支持獲得を視野に、独自色アピールよりも「安全運転」(自民党関係者)を優先したとの見方が強い。その戦略が功を奏すかは、不透明だ。
党が打ち出した「解党的出直し」は、自身が初当選時に選挙事務所で口にしていた言葉だと強調。「自民党再生への取り組みこそ、私の政治家としての原点です」と訴えた。今回も、5人の中で「本命」と見る向きが多い中、独自色を打ち出す「攻め」の姿勢を、党の結束に腐心する「守り」に変えながら、ゴールを目指す。【中山知子】

