藤井聡太王座(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将=23)が同学年の伊藤匠叡王(22)の挑戦を受ける、将棋の第73期王座戦5番勝負第3局が30日、名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われ、先手の伊藤が藤井を下し、シリーズ対戦成績を2勝1敗とし、2冠にあと1勝とした。昨年4~6月に行われた叡王戦で伊藤に敗れ、初めてタイトルを失い、8冠から陥落した藤井は、2つ目のタイトル失冠のピンチになった。第4局は7日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で行われる。

終局後、藤井は「難しいながら、ちょっと自信のない展開にしてしまった」。戦型は相掛かり。勝った方が王手をかける天王山で伊藤が研究手をぶつけた。受けて立った藤井は、長考を入れ、慎重に駒組みを進めた。お互いが水面下で激しく読み合う力戦となり、劣勢の終盤では複雑な手を織り交ぜる勝負術を見せたが、最後はぴったりと寄せきられた。

タイトル戦でかど番に追い込まれたのは24年5月の伊藤との叡王戦以来、約1年5カ月ぶり、2度目。「残り時間が少なくなってきてからミスが続いている。反省点も踏まえたい」と気持ちを切り替えた。【松浦隆司】

○…伊藤の指がしなった。8筋に竜を取るために打ち込んだ金で手厚い形にすると、その金を7筋に金を繰り出して勝利を確信した。「難しいと思っていました。読めていない変化もあってきわどいと思っていました」。そんな難解な終盤で、正確かつ鋭い指し手でじりじりと差を広げた。「前の2局は苦しい展開が続いていた。本局は比較的うまく指せたと思います。しっかり体調面も含めて準備したい」。藤井からタイトルを奪った昨年の叡王戦5番勝負も初戦を落とした後、連勝している。初の王座獲得へ、一気に決める。