西村淳騎手の内へのこだわりが、鼻差の接戦を制した。エルトンバローズを好位4、5番手で流れに乗せると3、4コーナーではジワッと前との差を詰めていく。直線は逃げたウインカーネリアン、2番手バビットの後ろ。早めに2頭の外へ切り替える選択肢もあったが、少しでもロスを減らすためラチ沿いで仕掛けのタイミングをうかがった。

もし、先行2頭がずっと併走状態なら、壁に阻まれるリスクもある。そこは賭けだが、まともに瞬発力勝負を挑んでも、ソングライン、シュネルマイスターにはかなわない。だから最短距離を狙っていた。残り300メートル地点。わずかにできたスペースを突いて一気に先頭へ。ここまで無駄に動かなかった分、切れる脚が使えた。

エルトンバローズの上がり3ハロン33秒8は、2着ソングラインよりも0秒3、3着シュネルマイスターより0秒5遅い。それでも勝利できたのは、内にこだわりコースロスなく進めた分と、直線でうまく脚をためられたことで補えた。もし、外への意識があったら、4着まで落ちてもおかしくない大激戦。西村淳騎手の冷静な判断が光った。

毎日王冠を制したエルトンバローズをなでる西村淳也騎手(撮影・鈴木正人)
毎日王冠を制したエルトンバローズをなでる西村淳也騎手(撮影・鈴木正人)