2月19日の東京競馬場。フェブラリーSのパドックに川崎の酒井忍調教師(50)の姿があった。見ていると高柳大厩舎のソリストサンダーに歩み寄っていく。それで思い出した。川崎の前開催終了後、栗東の同厩舎で研修することになっていると話していた。

「G1のパドックで中に立たせてもらうなんて、本当にありがたかったです。あまり見られない景色ですからね」。それだけが貴重な経験ではない。栗東では中内田厩舎でも研修。「それぞれのいいところを見られたのでよかったです。川崎で生かせるかどうか分からないですけど、経験は絶対にマイナスにはならないですからね」。合わせて約1カ月という短期間だったが、開業に向け、新たな知識を得てきた。

新潟競馬の騎手時代は師匠の河内師とともに厩務員の仕事もこなしていたという。「先生が厳しくて(苦笑)。細かいんですよ。でもあれもいい勉強になっています。最近は乗らないで下で見ていて、あらためて馬のかわいさが分かって。楽しみですね」。そう話す顔はすっかり調教師。開業が待ち遠しい。【牛山基康】