熊 競馬ってのはよく小説にもなっているよな。

いまにし亭(以下い) レースそのものを扱っているという意味では、英国の作家ディック・フランシス(1920~2010年)の諸作品が知られている。日本語の題名で「本命」とか「大穴」とか、そのものズバリのものが多い。

熊 障害レースの騎手から作家になった人なんだってね。

い 日本のものでは映画にもなった小説家・宮本輝の「優駿」かな。

熊 劇作家・寺山修司の競馬エッセーもいい。

い 馬券を買う競馬ファンが共感を覚えそうなのは織田作之助の「競馬」。

熊 これまたそのものズバリのタイトル。

い 1947年(昭22)に亡くなった小説家の作品。京都競馬場を舞台に、死んだ妻が「一代(かずよ)」という名だったから、「1」番の馬を買い続ける男の話。冒頭からかなりのスペースを割いて、馬券を買うファンの心理を描写している。悲しい場面もあるが、競馬好きが読めばなかなか面白い。今でも文庫で買えるから、興味がある競馬ファンにお勧めしたい。というわけで今日12日は、これという馬がいたら(1)の単複を。【今西和弘】