え!? 桜のない桜花賞? 今週日曜には阪神競馬場で桜花賞が行われる。例年なら1週前の大阪杯の時点で色鮮やかにコースを彩っている同場の桜だが、今年はまだ満開にはほど遠い異常事態。果たしてレース当日に間に合うのか。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では奥田隼人記者が、担当者であるJRA阪神競馬場・馬場造園課の泉朋樹さん(27)に話を聞いた。

3月31日時点で、開花したばかりの向正面の桜(撮影・白石智彦)
3月31日時点で、開花したばかりの向正面の桜(撮影・白石智彦)

桜花賞が“桜無賞”になってしまうのでは…。例年、牝馬クラシック第1戦をあでやかに彩る阪神競馬場の桜。イメージでは1週前の大阪杯の時点ですでに咲き誇り、翌週までもつのか…と心配する年の方が多い気がする。しかし、今年は様子がおかしい。大阪杯が行われた3月31日も木々はまだ色づきもしていなかった。これは非常事態である。同競馬場の桜を担当する馬場造園課の泉さんは、取材した3月29日時点での現状をこう説明する。

「馬場の外側の道路沿いなどは一部で何輪か咲き始めていますが、開花の基準とする標準木に開花が見られません。おそらく、1日以降の宣言になると思います。去年は開花日が3月23日で満開が4月2日。その日が大阪杯でした。今までのデータでも桜花賞当日は散り五分や散り七分とかだったので、今年はあまり例を見ない状況です」

原因は3月の気候。当初は月頭から気温が高いと想定し、開花日を同22日に予想していた。しかし、雨の日が続いたり、想定外の寒波も影響。開花日が1週間以上も遅れることとなった。桜は間に合うのか…。

「桜花賞の当週は月曜から日曜にかけて結構、気温は高いです。ですが、天気予報では雨や曇りの日もあるので。そこは少し懸念しています。宣言した開花日から、だいたい1週間後が満開日になります。なので、1週間ずっと快晴が続くなら当日に満開というのもありえなくはないですが、今後の天気次第というところは大きいです。今のところ、当日は六分から八分咲きくらいなのかなと予想しています」

ところで、ちまたでは“阪神競馬場の桜は人工的に咲く時期を調整できるのでは?”といううわさをよく耳にする。真相はどうなのか。

「よく都市伝説で言われたりはしますが、そういったことはできないと思います。もし開花調整ができるなら本当にしたいくらいです(笑い)。これはあくまでも、自然のものなので」 丹念な手入れや、こまめに気象情報を収集しながら、空とにらめっこを続ける日々だ。今年の桜花賞の見通しは。

「確実に去年の散り五分よりはいい状態で迎えられるという期待を持って、祈っています。レースを楽しんでいただきたいのはもちろんですが、阪神競馬場は公園や噴水、水場など子どもたちが遊べる場所もあったり、お花見として楽しんでいただける場所もすごく多いので。ご家族の憩いの場としても利用していただけたら、うれしいです」

桜の猛烈な“追い込み”に期待したい。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)