頑張るしかありません-。角居勝彦元調教師(59)が競馬を語る月イチ連載「Thanks Horse」。今回は自宅や牧場のある能登半島を襲った地震についてつづった。元日に輪島市で被災。現状と今後について思いを明かした。

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地震が起きた時は、輪島市の布教所の2階で片付けをしていました。立っていられないぐらいでしたし、電子レンジやオーブンが揺れるというより飛んでいくような感じでした。しばらくはぼうぜんとしていて、外の駐車場を見てみると、ご近所の人たちが家から出て集まっていました。そのうちに津波警報が鳴って、高台へ逃げました。すでに地割れがひどくて、車での移動はできませんでした。

日が落ちた頃に、近くの朝市から火の手が上がり、停電もあって真っ暗な中に炎が広がっていくのが見えました。こちらまで火が来るのではないかと思いましたが、間に川があったので巻き込まれずには済みました。布教所も壁の剥がれやひびがあったぐらいでした。それでも近くの家が何軒もつぶれてしまいました。

電気はすぐに復旧しましたが、水道は今も出ないままです。水の配給はありますが、トイレやお風呂、洗濯機は使えません。食事は冷蔵庫にあった物のほか、布教所にあったお正月のお供えなどで賄いました。こういう時は助け合いも大事です。倒壊した別の布教所から避難してきた高齢の女性の方をしばらく受け入れたり、避難所で救援物資を運ぶお手伝いもさせてもらったりもしました。

珠洲市のホースパークにいた人や馬は無事でした。それでも、牧柵や馬房の扉が壊れるなどの被害はありましたし、スタッフは家へ帰れなくなり牧場で寝泊まりしていました。私も地震の数日後に向かいましたが、いつもなら1時間で着くのに、通れない道が多く5時間かかっても半分までしか行けずに断念しました。ようやく行けたのは1週間ぐらいたってからでした。

馬6頭は地震の時に草を食べていて、一瞬だけ「エッ」と驚いた後で、またすぐ食べ始めたそうです。その後も1頭だけ下痢になった以外は特に問題なかったです。馬は人より地震に強いのかもしれません。

復興には時間がかかると思います。もともと過疎化の地域でもあり、どれだけの人が離れずに残るのかも分かりません。人口が半分以下になってしまうのではないかという心配もあります。ですが、私たちは「起きてしまったものは仕方ない」と考えて頑張るしかありません。みなさんにもいろいろな形で応援していただければありがたいです。

■「みんなの馬」有料会員募集

珠洲市のふるさと納税では珠洲ホースパークでの乗馬体験なども返礼品に含まれていたが、震災後は一時的に受け付けを停止しており、現在は返礼品なしの災害支援寄付のみ可能となっている。角居氏が運営するプロジェクト「みんなの馬」では現在も有料会員(毎月1200円~)を募集している。詳しくは「みんなの馬」で検索を。