243回目の英国ダービーが4日、土曜日にエプソムダウンズ競馬場で行われます。

水曜の本紙コラムでも触れましたが、今年のダービーはエリザベス女王の即位 70周年を記念するプラチナジュビリー祝賀行事のハイライトとなる特別な開催、同時に29日に亡くなった英国競馬界のレジェンド、レスター・ピゴット氏のメモリアルレースとして行われます。

女王の愛馬でダービー候補となっていたリーチフォーザムーン(牡3、父シーザスターズ)は目標をロイヤルアスコット開催4日目(17日)のキングエドワード7世S(G2、芝2410メートル)に切り替えて、ここは回避。楽しみは2週後に持ち越されています。

今年のダービーは17頭立てになりました。1番人気は前哨戦のG2ダンテSなど2戦2勝で、ここに臨むデザートクラウン(牡3、父ナサニエル、M・スタウト厩舎)。鞍上はデビュー以来のコンビであるリチャード・キングスコート騎手に決まりました。同騎手はダービー、2度目の参戦だそうです。

過去のダービー馬では2戦目で優勝となった“神の子”ラムタラの例がありますが、デザートクラウンが優勝を飾れば、近年ではデビューから4連勝でダービー馬となった2015年ゴールデンホーン以来の無敗のスター誕生となります。

ここ5年間のダービーは21年のアダイヤー(7番人気)、20年サーペンタイン(8番人気)、19年アンソニーヴァンダイク(4番人気)、18年マサー(6番人気)、そして17年のウイングスオブイーグルス(16番人気)とすべて穴馬が優勝、エプソムダウンズ競馬場の芝2410メートルという特異なコースゆえの予想の難しさを浮き立たせています。

前回でも触れましたが、勝ち馬の血統は見事にガリレオ系(サドラーズウェルズ系)に偏っています。過去5年のアダイヤー(父フランケル)、サーペンタイン(父ガリレオ)、アンソニーヴァンダイク(父ガリレオ)、マサー(父ニューアプローチ)、ウイングスオブイーグルス(父プールモア)は、ガリレオの伝えるものが、この時期のこのコースで花開いたと見ていいのかもしれません。

今年もガリレオの血を持つ馬は過半数を占めていて、人気馬ではデザートクラウンがガリレオ直子のナサニエルの産駒。2番人気のストーンエイジはガリレオの直子、3番人気ネイションズプライド(父テオフィロ)、4番人気のチェンジングオブザガード(父ガリレオ)、5番人気のピズバディル(父ユリシーズ)もすべてガリレオ血脈です。逆に人気のない馬にもスターオブインディア(父ガリレオ)、ウエストオーヴァー(父フランケル)、ナハンニ(父フランケル)、ウエストウインドブローズ(父テオフィロ)、グランドアライアンス(父はガリレオ直子のチャーチル)、エルハビーブ(父はガリレオ直このアルリファイ)がいて狙いを絞りづらくさせています。

玉石混交のなかで筆者が気になっている1頭は3戦2勝のピズバディルです。ニアルカスファミリーの競馬法人フラクスマンステーブルの生産所有で、ドナカ・オブライエン調教師の管理馬。早々にランフランコ・デットーリ騎手を確保しました。昨年、G3エアフィールドステークス(芝1800メートル)で2着し、4月2日のバリサックスS(G3、芝1800メートル)では直線先頭に立って、ゴール手前でバッカルー(2着)に抜かれながらも差し返す勝負根性を見せました。

この馬の祖母シーヴァは日本産のヘクタープロテクター産駒でG1タタソールズゴールドCの勝ち馬。近親には英オークスのライトシフト、全欧古馬チャンピオンのユリシーズ(ピズバディルの父)、凱旋門賞2着のクロスオブスターズなど。ちょっと複雑ですが、シーヴァの半妹ライトシフトが父ユリシーズの母という関係で、ピズバディルは曽祖母ランジェリーの3×3のインブリード(近親交配)になっています。

これに加えて今年の英、仏、愛の2000ギニーをそれぞれ違う馬で制したゴドルフィン、チャーリー・アップルビー調教師のコンビが送るネーションズプライド、ウォークオブスターズ(父ドバウィ)、ナハンニの3頭の存在も不気味。発走予定時刻は日本時間で土曜の深夜(日曜午前0時30分)。ライブ映像はグリーンチャンネルで見られます。(ターフライター奥野庸介)

※成績等は2022年6月3日現在

やっぱりハッピーターンですね。あまじょっぱい(笑い)
やっぱりハッピーターンですね。あまじょっぱい(笑い)