去就が注目されていたバーイードの回避が発表され、それとともに地元の3歳牡馬代表のヴァデニも英チャンピオンSへの直行が決まりました。

2枚の大駒がなくなって凱旋門賞戦線は再び、混沌(こんとん)としてきました。本番3週前に行われた愛チャンピオンS、英セントレジャー、そしてフランスのフォワ賞、ヴェルメイユ賞、ニエル賞の結果が加味された前売りオッズは、以下の通りになっています。

3歳馬の代表はG1愛チャンピオンSを差し切ったルクセンブルクになりました。もともと昨年の2歳牡馬王者をネイティヴトレイルと争った素質馬でしたが、今年初戦のG1英2000ギニーで3着に敗れ、その後、筋肉を傷めて戦列を離れたこともあって、上半期はスポットライトを浴びずにいました。母の父がデインヒルダンサーで馬力があり、馬場が悪くなっても苦にしません。ライアン・ムーア騎手はこの馬に乗るはずです。

前売り2番手以下は古馬が占めています。牝馬のアルピニスタは年をまたいでG1を5連勝中。フランケルの芦毛馬で、昨年のG1ベルリン大賞ではトルカータータッソをねじ伏せ、今年のG1サンクルー大賞では、昨年の凱旋門賞3着馬のハリケーンレーンを一蹴と、凱旋門賞を勝って不思議ない実力をうかがわせています。

昨年の凱旋門賞を極悪の馬場で大穴をあけたトルカータータッソは今シーズン、4戦1勝。キングジョージ6世&クイーンエリザベスSは2着ながら直線上がってきて見せ場を作り、前走のG1バーデン大賞も2着ながら最後まで良く伸びていました。鞍上はR・ピーチュレク騎手からランフランコ・デットーリ騎手に変わっています。

タイトルホルダーの評価は高値で安定しています。この馬の持ち味であるロングスパートは、パリロンシャンに合っているように思えます。天皇賞・春の再現を期待したいところです。

オネストはG1パリ大賞優勝から臨んだ愛チャンピオンSで小差の2着。ここへきて着実に力をつけています。フランケル産駒は昨年の凱旋門賞3着(ハリケーンレーン)。母の父シーザスターズの産駒はタグルーダが3着、シーオブクラスが同2着しており、勝てないまでも堅実な末脚で馬券に絡んでいます。中間の調整次第ですが、馬券の軸に最適なタイプかもしれません。

前走、3頭立ての復帰戦を勝って、ぎりぎり間に合った印象のアダイヤーですが、凱旋門賞の出否は未定。11月5日の米国のブリーダーズカップターフに向かう可能性が高いものとみられています。

単勝10倍以上の伏兵と見られる一群にも注目したい馬が潜んでいます。個人的に目をつけているのは、G1ヴェルメイユ賞で3着したラパリジェンヌです。行った行ったで決着したレースで前がつまりながら、残り100メートルで馬群を縫うように追い上げた末脚は出色。本番でも重要な役割を演じてくれそうです。

16日現在の主要ブックメーカーによる凱旋門賞の前売りオッズは以下の通りです(上位人気馬と参戦予定の日本馬のみを抽出)

ルクセンブルク(牡3、父キャメロット、愛A・オブライエン厩舎) 4・0~5・5倍

アルピニスタ(牝5、父フランケル、英H・プレスコット厩舎) 6・0~8・0

トルカータータッソ(牡5、父アドラーフルク、独M・ヴェイス厩舎) 7・0~9・0

タイトルホルダー(牡4、父ドゥラメンテ、美浦・栗田徹厩舎) 8・0~10・0

オネスト(牡4、父フランケル、仏F・シャペ厩舎) 9・0~13・0

アダイヤー(牡4、父フランケル、英C.アップルビー厩舎) 9・0~13・0

ラパリジェンヌ(牝3、父ザラク、仏C&Y・レルネール厩舎) 13・0~21・0

ウエストオーバー(牡4、父フランケル、英R・ベケット厩舎) 15・0~21・0

ドウデュース(牡3、父ハーツクライ、栗東・友道康夫厩舎) 15・0~26・0

キプリオス(牡4、父ガリレオ、愛A・オブライエン厩舎) 17・0~34・0

ハリケーンレーン(牡4、父フランケル、英C・アップルビー厩舎) 15・0~34・0

アルハキーム(牡3、父シユーニ、仏J・Cルジェ厩舎) 21・0~34・0

※シムカミル(牡3、父タマユス、仏S・ワッテル厩舎) 21・0~41・0

スウィートレディ(牝4、父ロペデヴェガ、仏F・グラファール厩舎) 21・0~51・0

ベリーエレガント(牝6、父ゼド、仏F・グラファード厩舎) 34・0~51・0

ディープボンド(牡5、父キセキ、栗東・大久保龍志厩舎) 41・0~51・0

ステイフーリッシュ(牡7、父ステイゴールド、栗東・矢作芳人厩舎) 34・0~67・0

※は追加登録が必要な馬

(ターフライター奥野庸介)

競走成績は9月16日現在

パリターフ電子版の1面
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